DeNAのトレーバー・バウアー投手が中日戦(7月6日・横浜)で、9回を来日最多128球、4安打2失点で自身5連勝となる6勝目を飾った。
試合後には「アリガトウゴザイマシタ!ユメ、カナウマデチョウセン!」と日本語でコメントすると横浜スタジアムから大歓声があがった。グッズの売り上げも堂々の上位。球団としては、してやったりの大成功の補強になった。
バウアーは米メジャーリーグで2020年サイ・ヤング賞を受賞した大物右腕だった。しかし女性に対する暴行疑惑を理由にロサンゼルス・ドジャースを解雇。そして今年3月に電撃のDeNA入りとなった。そのドジャースは3年前、バウアーと年俸1億200万ドル(約144億円)の3年契約を結んでおり、解雇しても残り1年の年俸は払う契約になっていた。本来であれば30億円払ってでも日本に来ることはない投手を、DeNAは年俸4億円で獲得したのだ。
これはDeNAのスカウトの勝利と言っていいだろう。水面下では日本の他球団とバウアー争奪戦になっていたが、2019年にDeNAの球団施設をプライベートで訪問したことも、電撃入団の大きな後押しになった。
ただし、バウアーが来年、DeNAのユニホームを再び着る可能性は極めて低いと言っていいだろう。ドジャースが今年払う約144億円を最低のラインとして交渉できる日本の球団は、悲しいかなどこもない。
バウアーの最近の魂の入ったような熱投は、すでにメジャー復帰へのアピールに見えて仕方がない。
(小田龍司)