神奈川県相模原市内のマクドナルド店頭に貼られた「出入り禁止令」が、ちょっとした騒動になった。
〈店内での中学生の行為に関して、他のお客様へのご迷惑、店頭スタッフの身に危険を感じることがございます。つきましては●●中学校生徒の方の当店への出入りを禁止とさせて頂きます〉
現在は中学校名を伏せた別の貼り紙に替えられ、出禁は解除されたという。「店頭スタッフの身に危険を感じる」とは穏やかではない。いったいどういう行為があったのか。
ネットの匿名掲示板には自称相模原市民からの「告発」が多数見られる。「店から数百メートル離れた中学校の生徒達がすごい勢いで自転車を飛ばしていて、店先でぶつかりそうになった」「中学校に登校しない生徒が朝からマックに居座り、マック店内でオンライン授業を受けている」「何も買わない生徒が家から持ってきた弁当を食べている」などといったものだ。
「学校の口コミサイト」でも酷評のオンパレード。「朝からマトモに授業ができない。この中学校の通学区域に家を買ったことを後悔している」「学力は相模原市内で最も低い」…。マクドナルド側が地元警察と相談して中学生を出入り禁止にするに至った、相応の理由があるようだ。
ところがこれは、相模原市だけの話ではなかった。小中学校が夏休みに突入した7月下旬、都内城東地区のマクドナルドに入ってびっくりした。なんと、相模原市のマックと同じ光景が広がっていたのだ。小学校低学年と思しき女児と母親が4人掛けの席を占拠し、ポテトSサイズの乗ったトレーの上にお弁当と水筒を広げている。テーブルをひとつ飛ばしにした席に座ってナゲットとサムライマックを食べていると「私もナゲット食べたいなぁ」「そんなことより、今日中にここで夏休みの宿題済ませて」という親子のやりとりが聞こえてくる。仕事が休みの日に涼しい場所で子供の勉強をみてあげたいという親心は理解できるし、ポテトSひとつしか買えない事情があるのかもしれないが…。
中学生や親子連れのマナーの悪さを嘆くだけなら簡単だ。が、実はマックに集まる理由のひとつに、図書館から子供が締め出されている現状がある。筆者の地元の図書館でも、高齢者と外国人からクレームが多く寄せられ、夏休み期間中は子供の利用が制限されている。図書館の司書は高齢者と中国系の利用者には忖度し、幼児や小学生のことを睨みつけていく。行き場をなくした中学生や親子連れは涼を求めてマックやサイゼリヤなどに逃げるしかないのだが、薄利多売で成り立っている外食チェーンにしてみれば、営業妨害でしかないだろう。
少子高齢化対策を口実に増税する前に、夏休みくらい子供が図書館を優先利用できないものだろうか。
(那須優子)