A氏は自戒も込めて語ってくれたが、告白内容はもう過去の話だと割り切っていいものなのだろうか。
先の現役OCを直撃すると、かつて店長を務めた店舗で類似する案件があったことを認めたうえで、少し歯切れ悪く口を開いた。
「もうスープマシーンは廃止されたし、シェイクマシーンもその当時のものとは違います。店舗ごとに開きはあると思いますが、衛生管理に関しては厳しい指導をされるようになったので改善されているはずです」
とはいえ、異物混入を続発させているのが現実なのだ。都内でマクドナルドを利用する常連客が言う。
「店舗内がどれだけ汚いとかは知らないけど、よくダブルチーズバーガーを買う繁華街近くの店舗ではしょっちゅうパティがまだ赤々とした生焼けでビックリ。テイクアウトしたあとに自宅から抗議の電話を入れると、家が近いこともあって店長が作り直したのを持ってきてくれるけど、いいかげんにしてほしいよ」
ちなみに、取材過程でナゲットを購入したが、5個入りのうち1個はみごとにレア状態だった。申し出ると謝罪と返金だけはされたが、遠のいた客足を戻すためには、まだ改善されるべき課題が多いように感じる。
マクドナルドの経営内幕を熱心に取材し、著書「本日より時間外・退職金なし日本マクドナルドに見るサラリーマン社会の崩壊」(光文社刊)もあるノンフィクションライター・田中幾太郎氏は言う。
「昨年7月の鶏肉問題の時、最終的にはカサノバ社長が謝りましたが、なかなか謝罪をしませんでした。謝ったら不利になるという米国式対応は、半年経過しても変わっていなかった。今回の会見も取締役2人が謝っている様子には見えませんでしたからね。安全面についてはさらなる対策を考えなければ信頼をますます失うでしょう。一方で米国式対応は変わらないのでしょうね」
A氏が証言したゴキブリやネズミも登場する不衛生な現場の実態を把握していたのか、日本マクドナルドのPR部に問い合わせたところ、
「ご質問を拝見させていただきましたが、誠に恐縮ながら、お寄せいただきましたご質問に関しましては、私どもが把握している事実はございません」
との文書回答だった。
はたして、日本全国の客たちにスマイルが戻る日は訪れるのか──。