外食チェーン最速100店舗を達成していたワタミの「から揚げの天才」では閉店が相次ぎ、残るは約40店舗となるなど唐揚げ専門店の苦境が連日伝えられている。一方、唐揚げ専門店はむしろ微増しているとの報道もあるのだが、このまま勢いを持続することができるのだろうか?
コロナ禍の爆発的なブームの影響で、日本唐揚協会の発表によれば2022年3月時点での唐揚げ専門店の店舗数は4379店で、12年の450店舗から10年で約10倍と激増。しかし昨年の中頃から鶏肉や揚げ油の仕入れ値の高騰により逆風が吹き始め、「唐揚げブームの終焉」や「閉店ラッシュ」などと報じられていた。ただ、同協会の八木宏一郎専務理事によると23年の3月時点での店舗数は4388店舗で9店舗増加しているといい、これからも「全国的に伸びていく」としている。
経済ジャーナリストが語る。
「確かに唐揚げ専門店は昨年から微増してはいますが、それまでの勢いから比べれば頭打ちの状態とも言えるでしょう。いまだに材料費の高騰は続き競合他社との食い合いも起きているため、比較的身軽なチェーン店やフランチャイズ店から撤退が始まっているのが現状だと思います」
では、このまま唐揚げ専門店は減少の一途をたどるのだろうか。
「この夏が大きな正念場になるのでは。気温が上昇する夏場は家庭での揚げ物調理が敬遠される傾向があり、夏は7割の人が揚げ物を店で買うと回答するというアンケート結果もある。店にとっては繁忙期となります。そのためもし、この夏に店じまいが相次ぐようなことがあれば、その後はさらに閉店ラッシュが加速する可能性があります」(前出・経済ジャーナリスト)
唐揚げ専門店はこの夏を乗り切れるだろうか。
(小林洋三)