パ・リーグの先発投手は、日本ハムの武田勝(36)が2年連続“受賞”という結果となった。09年から4年連続2桁勝利。ダルビッシュ有(現レンジャーズ)とともにローテーションを守ってきたが、昨年は8勝、今年に至ってはわずか3勝止まり。1勝当たり単価も5666万円と、昔日の面影がすっかり失われてしまった。
橋本氏は、「コントロールとキレに衰えが見られる」と指摘。広澤氏も次のように心配する。
「球威で勝負するタイプが、体力的に衰えたというなら原因がはっきりしているから、投球スタイルを変えるなどの対策も立てやすい。しかし武田の場合は、球威ではなくコンビネーションで勝ってきた投手だから、本人も勝てない理由がわからないはず。来季以降の復活も難しいかもしれませんね」
昨年の日本一から一転、最下位に甘んじた楽天からは、大量5人がワーストナイン入りしてしまった。他チームの遊撃手の年俸が低く、活躍のわりには単価がトップになってしまった松井稼頭央(38)などは気の毒だが、チームの中心的な存在だけに、数字には表れない部分でのリーダーシップを発揮してもらいたかったところだろう。
一方、「入団時にあれほど大騒ぎされたのに、結局、何もしなかった」と愛甲氏が言えば、広澤氏も「これぞ“逆MVP”」と批判するのが、ヤンキースから年俸3億円の鳴り物入りでFA入団したユーキリス(35)だ。
メジャー通算150本塁打、09年WBC米国代表の4番打者、06~12年まで7年連続で2桁本塁打。レッドソックス時代の07年には、松坂大輔(現メッツ)とともにワールドシリーズ制覇に貢献するなど実績は申し分なかったが、日本滞在は、わずか1カ月半ほど。左かかとに痛みを訴え出場選手登録から外れると、5月には再検査と治療のため米国に帰国。そのまま復帰することはなかった。出場試合は21、打った安打はわずか14本、1安打当たりの単価2142万円。ため息が出るほど破格の高値だ。
「野球を知らないフロントが外国人獲得に関わったことが裏目に出たと思いますね。ユーキリスはヤンキース時代の昨年6月に腰の手術を受けており、もともと体調面は不安視されていました。ジョーンズ、マギー(現マーリンズ)の活躍で日本一になったことに味を占め、メジャーの大物に手を出したのでしょう。他にも、昨年ソフトバンクで10Sしかあげられなかったファルケンボーグに2億円も出すなど、編成・補強のしかたには問題が多いですね」(江本氏)
星野仙一監督が辞任し、何かと毀誉褒貶のある大久保博元二軍監督の昇格が有力視される楽天。来季は、新監督同様、フロントの真価も問われることになりそうだ。