「ポスト岸田」に誰がふさわしいかという8月の共同通信の最新世論調査でトップとなった、自民党・石破茂元幹事長。ここ数年、ぶっちぎりで首位だった河野太郎氏は、石破氏に5% もの大差をつけられ2位と失速気味。再選を狙う岸田文雄首相は4位で、小泉進次郎元環境相よりも低かった。
この結果を受け自民党関係者が分析する。
「河野さんが落ちたのは実に分かりやすい。若者に向けたSNSの発信で一時期人気は出たが、マイナンバーカードのトラブル続きで真の実力がないと国民に見透かされた感がある」
また岸田首相の支持の低さについては、自民党関係者に言わせれば光熱費や食糧コスト高で国民が苦しむ現状を打開する「突破力がなさ」が見切られたとのこと。
では石破氏がトップになった理由は何なのか。
「一つにはロシアや中国、北朝鮮による世界危機が叫ばれる中、防衛問題の第一人者である石破さんの登場を期待する人が増えているためだろう。かつ物価高騰の面でも、地方創生相で力を発揮してきた庶民感覚での訴えが実を結び始めている」
ただ、石破氏が総裁になるには大きな障壁がある。自民党議員が指摘する。
「総裁になるには国民人気に加え国会議員の人気がなければならない。石破さんは2012年、総裁選挙決戦投票で国会議員票を多く集めた安倍晋三氏に逆転で破れた。18年も同様で、つまりは自民党内で人気がないということ。仮に来年出馬しても、そこをクリアしないとまた負けますよ」
かつて20人近くいた石破派は解体し、今は数人のお友達グループとなっている。自民党の若手議員もこう囁く。
「現状では推薦人20人も集められず、スタートラインにさえ立てない可能性がある。ここだけの話、石破さんと酒を飲むと政策論ばかりで楽しくない。説教をやめたらもっと仲間が増えると思う。ついでにカラオケのレパートリーをキャンデーズ以外にも増やせば新たな光もみえますよ(笑)」
河野氏が沈み岸田氏も崖っぷちとなりつつある今、石破氏には再び巡って来たビックチャンスともいえよう。再度奮起し国会で仲間を増やせるのか。
(田村建光)