9月29日から映画「沈黙の艦隊」が全国公開される。
同作はかわぐち氏が漫画誌「モーニング」で1988年から96年まで連載した同名マンガを実写化。日米両政府が極秘で建造した原子力潜水艦の艦長となった海江田四郎(大沢たかお)が反乱を起こし、逃亡するというフィクション作品。防衛省、海上自衛隊の協力を得て、実物の潜水艦が撮影で使用された。
主演を務めた大沢はプロデューサーとしてもクレジットされており、完成報告会では、
「スケールが大きく、核の問題のタブーに切り込むというとてもハードルが高い作品。そのあたりを防衛省、海上自衛隊に協力を得られるのかという課題があった」
と回想。実現は難しいと思いながら時間をかけて進めていく中、防衛省、海上自衛隊に「今だからこそいいんじゃないか」と協力してもらえることができ、プロジェクトを始動することができたと感謝を述べていた。映画ライターが語る。
「当初は大沢に対し、俳優としてのオファーだけだったとか。しかし企画段階でこのスケールの作品であれば、実物の潜水艦があったほうがいいと大沢が提案。大沢は自衛隊にツテがあり、そこから防衛省、海上自衛隊とつながっていき、潜水艦の使用が実現したそうです。さらに原作者のかわぐち氏への映画化のプレゼンも大沢が行い、それで『プロデューサー』の肩書も加わったようです」
ハリウッドでは俳優兼プロデューサーはよくあるが、日本ではまだ珍しいのではないか。大沢の本気度が窺える。
(鈴木十朗)