現在、上映中の劇場版「沈黙の艦隊」に主演する大沢たかお。原作は「モーニング」(講談社)に連載されていた漫画で、累計発行部数は3200万部。掲載当時、湾岸戦争の勃発、自衛隊派遣、憲法9条問題とも重なり話題を呼んだ作品で、このたび満を持しての映画化となった。
今回の映画では主演だけでなく、プロデューサーも兼任する大沢。「ボクらの時代」(フジテレビ系)、「A-Studio+」「王様のブランチ」「中居正広の金スマSP」(いずれもTBS系)など、バラエティー番組に積極的に出演し、宣伝に勤しんでいた。
その際、必ずといっていいほど語られたのが「作品の趣旨を説明するために、大沢自ら防衛省へ菓子折り持参で赴き、防衛大臣らに会い、賛同してもらった結果、撮影協力のためにヘリコプターや潜水艦の出動まで許可してもらえた」という話で、大沢の作品に対する情熱がよくわかるエピソードだった。
そんな大沢が「徹子の部屋」(テレビ朝日系)に登場した。母親のこと、幼少期の記憶、尊敬する田村正和から学んだことなどを語ったのだが、なんだかもの足りないのである。これまで大沢が「徹子の部屋」に出演した時には必ずといっていいほど語っていた、というか、徹子に無理やり披露させられていた鉄板エピソードを封印したのだ。
要約すると「モデルとしてパリコレに出演した際、帰りの飛行機で荷物が重量オーバーになってしまったため、超過料金を払うのを避けようと、スーツケースから衣類を取り出して何枚も重ね着して飛行機に乗ったものの、着ぶくれし過ぎてシートに座れず、仕方なく着ていた服をまた脱ぐハメになった」というものだ。
初めて出演した際にこの話をしたところ徹子が大喜びし、次の出演時に「あの話、聞かせて」とおねだり。さらに3回目でも徹子から再度おねだりをされて「また?」と苦笑しつつも語った大沢。出演するたびにこの話をさせられるという無間地獄だ。しかも4回目では、徹子自身がこのエピソードを丸々話して、大沢はただそれを聞いているというシュールな展開になっていた。
ところが2019年9月、5回目の出演時のこと。徹子は「あなたの荷物の話とかいろいろあって」と軽く紹介する程度にとどまり、大沢と徹子のやりとりを楽しみにしていた視聴者は、肩透かしを食わされたのだった。
そのため、6回目となる今回は久しぶりにアレが出るか…と期待していたが、全く触れられることなく終了してしまった。さすがに大沢が「あの話はNGで」と断ったのか、もしくは、徹子があの話をすっかり忘れてしまったのか…。大沢にはぜひ、次に「徹子の部屋」に呼ばれたら自らあの鉄板トークを展開し、徹子に活力を与えてやってほしい。
(堀江南)