コロナ禍が収まり、テレビ業界にもチラホラと景気のいい話が漏れてきてもいい頃だが、なぜか流れてこない。その一因として、親会社に足を引っ張られるという、特殊な事情が絡むケースを紹介しよう。
「ネット掲載の拡充を図りたいが、どうも難しい」
東日本のさるローカルテレビ局幹部は、こう言って嘆くことしきりだ。
「今はTVerというプラットフォームで地方局発の番組を流し、CMを入れられれば収益を上げられるようになった。暇ネタを局のYouTubeチャンネルにアップして、ヒットするかもしれない。新しいやり方はどんどん出てくるけど、決定権を持つ経営陣がアナログではどうしようもない…」
この放送局ではデジタル化を進めるために、局や番組サイト充実のための予算を申請したのだが、
「親会社の新聞社幹部から『ネットはダメだ。地上波で稼げ』とメチャクチャな回答がきた。だから力を入れて稼ぎたくてもできないんです。新聞社幹部はいまだに『紙でまだ儲けられる』『競合他社が少ないから、無理する必要はない』と勘違いしています。もう手遅れなんでしょうかね」
令和の時代に、頭脳が昭和で止まったまま。笑うに笑えない人物がメディアを牛耳る、悲しい現実があるのだった。
(つづく)