昨年11月に東京都内のホテルで20代女性に性的暴行をした疑いで今年5月に書類送検され、その後8月29日に不起訴処分となった、西武の山川穂高。山川が所属する日本プロ野球選手会は8月30日、「客観的事実に基づく慎重なご対応をいただくことを求める」との声明を発表した。
選手会の森忠仁事務局長の談話によると、山川は被害届を出した女性側が警察に申告した事実関係が、証拠として認められないとの判断がなされたことを踏まえて、
「これまで客観的事実に基づかないメディア報道、ソーシャルメディア投稿が続いた」
と指摘。それによって、誹謗中傷が絶えないばかりか、球団及び球団親会社の西武ホールディングスにも苦情が殺到したが、
「騒動の責任の全てが課されるものではありません。再びグラウンドでプレーできるよう、静かに見守りいただきたい」
球界関係者がこの背景を明かす。
「西武の選手会は何度も『公平、公正な対応をすべき』と球団側に申し入れをしていますが、球団側は世間体やスポンサーの顔色ばかりを気にして、まともな対応ができていない、との話もあります。そんな状況で不起訴となり、迅速に戦力として認められるかも不透明。本人へのフォローがなされるかも気がかりです」
山川がいない間にチームは得点力不足が響いて、とうとうパ・リーグ最下位に転落。一刻も早く1軍に戻したいのが、松井稼頭央監督の本音だろう。
問題は山川が今後、何事もなく1軍でプレーできるかどうかだ。というのも山川は、国内FA権の取得に必要な日数が、およそ2週間。現時点でシーズン残り30試合を切り、試合感覚を取り戻して2週間後に再昇格を果たせば、ギリギリ間に合う計算になる。さるパ・リーグ球団幹部が言う。
「山川についてはFA権を取得できず西武がトレードするパターン、FA権を取得するも宣言せずに西武に残留、FA権を行使して他球団に移籍する…という3パターンを想定しています。FA移籍を狙う球団は独自ルートを使って山川の状態、警察、検察の状況を逐一、情報収集していたと聞いています」
では実際問題、どうなるのかといえば、
「球団親会社トップが銀行マン出身で、お堅い西武ホールディングス傘下の球団に残すのは考えづらい。それならFA権だけ取らせて放出するのが人的、金銭補償もあるので、西武も納得するのではないか」(前出・パ球団幹部)
残された時間はそう多くない。