「60歳で映画撮ったじゃないですか。また70歳で何か1本…」
「いや、もう懲りましたよ。やっぱり餅屋は餅屋。無理ですね」
自身のYouTubeチャンネルでスタッフからの質問にこう答えたのは、8月21日に70歳になったばかりの関根勤だった。クエンティン・タランティーノ監督の映画への出演、綾瀬はるか、芦田愛菜といった人気女優とのドラマ共演など、願望含みの抱負を語る中で飛び出したやりとりである。関根によれば、
「コメディーはダメなのよ、日本は。流行らない。それでコメディー以外は撮りたくないから」
映画監督業は二度と御免とばかりの言いようなのだ。
関根の初監督作品は、2015年の「騒音」。地底人と戦う5人の中年オヤジの姿を描いたコメディーだ。主演・温水洋一の他、ずん・飯尾和樹、イワイガワ・岩井ジョニ男などお笑いタレントが脇を固めた。タモリと明石家さんま、千葉真一がゲスト出演しており、関根のキャスティング力は称賛された。当時、続編製作について問われた関根は「興行成績がよければ」と意欲を見せたものの、その後、何の話も進んでいない。
関根の言うように、日本では本当にコメディー映画が流行らないのか。この疑問に、映画ライターは次のように答えた。
「コメディー映画と聞いてまず思い浮かぶのは、脚本家・三谷幸喜氏の作品でしょう。三谷氏が監督した映画の興行収入を見ると、役所広司主演の『THE 有頂天ホテル』(2006年)は60.8億円、深津絵里主演の『ステキな金縛り』(2011年)は42.8億円、中井貴一主演の『記憶にございません!』は36.4億円と、いずれも高い数字を記録しています。また、二階堂ふみとGACKTのダブル主演、日本最高峰の茶番劇と言われる『翔んで埼玉』(2019年)は37.6億円。11月23日には続編が公開されます」
まさに関根の言う通りなのは、「餅屋は餅屋」ということだったのである。
(所ひで/ユーチューブライター)