日本でも1999年にソニーから発売されて以降、世界で大人気となった「アイボ」だが、世界各国でロボット犬の開発が進む中、なんと「火炎放射器を背負ったロボット犬」が発売されている。
この「Thermonator(サーモネーター)」というロボット犬を開発したのは、アメリカにある火炎放射器メーカー「Throwflame(スローフレーム)」社。サーモネーターは、中国製のロボット犬「Unitree Go1」をベースに自社の高性能火炎放射器を搭載させたもので、4つの目(カメラ)を持ち、最大9メートル先の標的を目掛けて炎を噴射することができる。ロボット専門家いわく、
「火炎放射器の一般的な用途としては、除草や雪や氷の除去、害虫駆除など。このロボットは軽量かつ、最高時速17キロで走れる『Unitree Go1』がベースとなっているため、本来の使用法と同様に、愛犬として一緒に散歩やジョギングすることもできる。ただ、形状が形状ですからね。街中で目を引くことは間違いないでしょう」
サーモネーターの価格帯は70万円前後だが、同社が販売するスタンダード火炎放射器「ARC Flamethrower」が、10万円から13万円程度。ベースとなる「Go1」の安いモデルが40万円弱、プロ仕様の「Go1 Pro」が約50万円となれば、妥当な金額なのだろう。予約販売の開始後、なかなかの人気なのだという。
同社は「このサーモネーターさえあれば、焼畑農業や燃えるゴミの処分など、どこでも好きな時に炎を放つことができる」とアピールするが、大量の炎を放つことから、軍事転用や犯罪に利用される可能性は否定できない。前出のロボット専門家が危惧する。
「戦場で軍用火炎放射器を使って対象物を焼却することはままあることで、敵が茂みに隠れることができないよう、茂みを火炎放射器で焼き払うケースは少なくありません。軍用ロボット犬として開発された四足歩行ロボット『ビジョン60』などは、すでにSEALs(海軍特殊部隊)と連携する米海軍特殊戦コマンドで、使用が始まっています。用途は攻撃のためではなく、爆発物や危険な化学物質を探し出す偵察任務と警備が中心。しかし、仮に身分を偽ったテロリスト集団がロボット犬を購入した場合、大惨事になる恐れがある。当局は運用に目を光らせています」
使い方ひとつで、とんでもない事態を引き起こしかねないのである。
(ジョン・ドゥ)