現在の飲食業界の最大の悩みは「人手不足」。この問題を解決しようと、「駅そば」では自動化を試みる店が続々と登場している。
昨年4月にJR王子駅でオープンした「いろり庵きらくそば」は「そばロボット」を導入。そばを茹でて洗い、締めるという一連の作業をロボットアームが行う。1時間で150食も調理でき、人員が削減できるという。
この店では他にも人手を減らす工夫がされており、タッチディスプレイのついたセルフレジが導入されている。実際に利用したフードライターが語る。
「そばを茹でるのはロボットでも、客に提供するのは人なので違和感はまったくありません。セルフレジも便利でした。これまでの駅そばだと食券を店員に渡す必要がありましたが、セルフレジはレジから店員に直接オーダーが届くので、客はできあがるのを待つだけ。楽でいいですね」
今年6月20日にはさらに進化した無人の駅そばがJR上野駅の常磐線ホーム(11番線と12番線)に登場。店内にあるのは調理機能付きの自動販売機だけ。タッチディスプレイで注文し、ICカードで支払うと2分ほどで電子レンジで加熱されたそばが出てくる。器を持ってカウンターに移動して食べるのは有人の駅そばと同じだ。
メニューは「たぬきつねそば」(600円)、「紅しょうが天そば」(730円)、「ちくわの磯辺天そば」(680円)、「柚子胡椒香る豚肉そば」(780円)の4種類。気になる味はどうなのか。
「紅しょうが天そばを食べたのですが、天ぷらは冷凍食品とは思えないぐらい美味しかったです。そばも腰があってなかなかでした。ただ、少し高いかなという印象。また七味などの薬味は用意されておらず、水もありません」(前出・フードライター)
問題点は他にもあるようで、
「メニューを選んで精算して調理が終わってそばを手にするまで、約3分かかります。券売機は1人しか対応できないため、3人並んでいれば自分の番が来るまで約9分かかる。その後、また3分かかるわけです。不満の声があったのか店頭には、提供までの目安時間が3名の場合は提供まで約10分、5名なら約20分かかると提示してありました。忙しい時に20分も待たされるのは厳しい」(前出・フードライター)
さらにこんなアクシデントに遭遇したという。
「私の次の客が注文した後、なかなかそばが出てこないのでどうしたのかと思ったら、調理に問題がありフリーダイヤルに電話するよう指示されていました。その電話はなかなかつながらない。そう頻繁にあることではないと思うのですが、これは困りますね」
今の時点ではまだ問題もありそうだが、少しずつ解決され無人化は着実に進むだろう。