日本のグループステージ突破を阻む難敵は、ポーランドではなく、ロシアの“当局”のようだ。
サッカーW杯ロシア大会で、グループステージ突破、決勝トーナメント進出に向け、日本代表が調整のためにカザンに到着したのは、6月26日。大会中は同地を拠点と決めていたので、「セネガルとの第2戦を戦ったエカテリンブルクから戻った」と言うべきかもしれないが、移動時間は距離にして約950キロ、バス移動で12時間ほどと言われる。それが、今回は、15時間近くもかかってしまったという。
「警備隊による検問、検問、また検問、ですよ…。試合会場地が近くほど警備も厳しくなっていったそうです」(関係者)
ロシアはテロ被害の多い国でもある。今大会の試合会場と一つとなっているサンクトペテルブルクでは、昨年4月、大規模な地下鉄爆破事件も起きている。政府、警察当局は万が一のことがあれば、世界的に恥をさらすことになると、検問警備を徹底していた。
「一般市民が利用するバスをいきなり止めて、警察官が入ってきて、パスポートや身分証を一人ずつ確認して回るんです。自動車に対しても同様で、観光客がたむろしているような店先にもつかつかと近づいてきて、パスポートのチェックですよ」(特派記者)
さすがに代表選手のバスには乗り込んでくることはないというが、その厳しい検問で道路は渋滞となり、その影響で選手の移動バスも動けなくなってしまったのだ。前出の特派記者によれば、検問中の警察官は話し掛けても無視、愛想良く振る舞ってもマユ一つ動かさないそうだ。
移動の長時間化で、日本の選手たちはちょっとお疲れ気味。もし、ポーランド戦に影響が出たら、“テロ”の間接的な被害と言えるかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)