プーチンは裏切り者を絶対に許さない。それは、反逆者らの末路を見せしめにして、暗殺やクーデターの芽を事前に摘み取り、自身の身の安全と体制の維持を図ろうとする、独裁者に共通する常套手段である。
「ワグネルの乱」を主導したエフゲニー・プリゴジン氏の墜落死もまた、しかり。独裁者プーチンによる報復は、執拗にして陰湿だった。
実はプーチンがワグネルの乱の直後から裏切り者の炙り出しと大粛清に血道を上げている、との戦慄情報がある。大粛清のターゲットは、ワグネルの乱に手を貸したロシア軍内の反乱分子をはじめとする、体制内に潜む不穏分子、ロシアの国内外で秘かに活動する反体制分子など、ありとあらゆる裏切り者に及んでいるというのだ。
プーチン政権の内情に詳しい国際諜報アナリストが明かす。
「最初に見せしめにされたのは、ロシア軍副司令官とロシア航空宇宙軍総司令官を務めるセルゲイ・スロビキン氏でした。ワグネルの乱後、スロビキン氏は両職を解任され、軟禁状態に置かれていた。つい最近、SNS上で無事が伝えられましたが、投稿された写真の真偽は不明で、粛清は時間の問題とみられています。しかもプーチンはワグネルの乱の直後だけでも、反乱に協力したり、これを看過したりしたロシア軍幹部の少なくとも数十人を解任したり、蟄居させたりして、粛清への準備を進めているのです」
それだけではない。プーチンはワグネルの乱のしばらく前から、病的とも言える極度の疑心暗鬼状態に陥り、手当たり次第に粛清の大号令をかけていたのである。
「プーチンはワグネルの乱のおよそ1カ月前から反乱の兆候をキャッチしていたと言われており、その1カ月間に粛清されたロシア軍幹部、ロシア諜報機関幹部、反体制活動家などの数は、少なく見積もっても数十人は下らないとされています。今後、独裁者プーチンによる粛清の嵐がさらにエスカレートするのは確実で、『事故死』『病死』『自殺』などに見せかけた暗殺が続発することになるかと…」(前出・国際諜報アナリスト)
まさに「何でもあり」の大粛清劇。ロシアは暗黒の時代に突入しつつある。
(つづく)