ジャニー喜多川氏によるジャニーズJr.たちへの性的虐待が白日の下に晒され、ジャニーズ事務所が釈明会見を開いて以降、各企業が雪崩を打ったように、ジャニーズタレントから離れていこうとしている。
アサヒグループホールディングスや東京海上日動、日本航空といった大企業がCM、広告への起用見送りを表明し、キリンホールディングス、サントリーホールディングス、日本生命保険、第一三共ヘルスケアなども同様の動きを見せている。中でもアサヒグループHDの勝木敦志社長が「朝日新聞」に語った決断の理由が、大反響を起こしている。
勝木社長は外部専門家による再発防止特別チームが発表した調査報告書で明らかになったジャニー氏の行状に「容認しがたい内容」と驚いた。と同時に、広告起用を見直す検討に入ったこと、ジャニーズによる9月7日の会見で被害者の救済について具体的な施策が提示されなかったこと、特別チームが求める「解体的出直し」にはほど遠い状況にあることなどを問題視。その結果、
「2019年に策定したグループの人権方針に照らせば、取引を継続すれば我々が人権侵害に寛容であるということになってしまう。取引を継続できないと判断した」
との結論に達したという。
その上で勝木社長は、ジャニーズ事務所が被害者救済などに本気で取り組む効果に期待し、
「人権を損なってまで必要な売り上げは、1円たりともありません」
アサヒグループだけでなく、ジャニーズとの取引を停止した企業に賛同する声は、非常に大きい。
「逆にいまだCM中止を明言しない企業には、厳しい声が。今後、ジャニーズとの関係を考え直す企業はますます増えていくでしょう」(広告代理店関係者)
それはジャニーズタレントを起用し続けるNHKや民放テレビ各局とて同じで、
「タレントに罪はないとの言い分で、視聴率、つまりは金儲けのために起用をやめないテレビ局への批判は、日に日に増大しています。ただ、今後はジャニタレが出演する番組へのCM出稿を停止するスポンサー企業が出てくることでしょう。そうなれば、テレビ局もついに大きな決断をせざるをえないのでは」(前出・広告代理店関係者)
テレビからジャニーズタレントが消え去る日は、そう遠くない未来に訪れるかもしれないのだ。
(石見剣)