10月4日19時のNHK「ニュース7」が独自取材として報じた、ジャニーズ事務所記者会見の「質問指名NGリスト」問題。事務所から会見の運営を任されていた外資系PR会社側が複数の記者やフリージャーナリストの名前や写真を載せ、質問の指名をしないようにする「NGリスト」を会場に持参していたというものだ。各メディアのカメラクルーは、PR会社関係者と思しき女性職員が「NG記者」と書かれたファイルを持ち歩いている様子をガッツリ撮影していた。
そこで新たな疑問が浮上。リストに載っていた6人が誰かということだ。旧統一教会問題を取材するフリージャーナリストの鈴木エイト氏や、東京新聞のお騒がせ名物女性・望月衣塑子記者、ネットニュース「Arc Times」の尾形聡彦記者が、が入手した資料をもとに自分ではないかと名乗り出ている。残り3人も、9月の記者会見で厳しい質問をした海外メディアや週刊誌ではないかとされている。
鈴木氏は芸能記者ではなく、旧統一教会など社会派の記事を書いているフリージャーナリスト。なぜ彼がリストアップされるのか。
ここに奇妙な接点がある。今から2年前、看護師の人材派遣会社で「統一教会の勧誘」が問題になったことがある(この人材派遣会社は別件の不祥事で、東京都などから指名停止中)。
統一教会への入信勧誘をしていた看護師は「自分はジャニー喜多川の元医療チームの一員だった」「ジャニー喜多川、メリー喜多川に近しい存在」と明かし、当時はまだジャニーズアイランド社長でメリー、ジャニー姉弟の側近でもあった滝沢秀明氏や東山紀之、木村拓哉らの名前を出して、同僚看護師達を言葉巧みに統一教会の集会に勧誘していた。
「韓国旅行に連れて行くから、合同結婚式に参列してほしい」と、かなり踏み込んだ勧誘を受けていた看護師が恐怖を覚え、派遣先の同僚や上司に相談したことでコトが発覚。勧誘していた看護師は休職を申し出たという。
ここまでは1人の統一教会信者による暴走だ。実際にジャニー喜多川氏に近い人物だったのかの裏付けは取れず、ジャニーズ事務所との関係も不明のまま。
だが、問題の人材派遣会社が安倍晋三元総理のブレーンと言われる人物の関係先で、ジャニー喜多川氏の性加害がBBCに報じられたのが旧統一教会と自民党の関係が大問題になった後、さらに今回リストアップされたNG記者が統一教会問題を取材中であるというのは、できすぎた偶然なのだろうか。
「ジャニーズ事務所廃業」と同時進行で、文科省は9月から世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、東京地裁に解散命令を請求する方向で検討に入っている。
地上波テレビ局はジャニーズ性加害問題について、局員からヒアリングをしている最中というが、テレビ局がジャニーズ事務所と旧統一教会それぞれの息がかかった局員を処分しなければ、視聴者やスポンサーからの信頼回復は無理というものだろう。
(那須優子/医療ジャーナリスト)