第二次森保ジャパン初の欧州遠征は、ドイツ(4-1)、トルコ(4-2)相手に2連勝と最高の結果を出して終えた。
この2連戦で気になった選手は3人の「イトウ」だ。
まずはこの2試合で2ゴール1アシストと日本のエース級の活躍を見せた伊東純也。先発したドイツ戦では試合の流れを掴む先制ゴールを決め、同点にされた後、さらに2点目となる上田綺世のゴールをアシスト。完全に日本ペースに持ち込んだ。
圧巻だったのはトルコ戦。堂安律に代わって後半から出場し、3-2と詰め寄られた後半30分、相手コーナーキックのクリアボールを拾うと、70mともいえる独走ドリブルを仕掛けてPKを獲得し自ら決め、相手の息の根さえも止めた。1人で攻め切ってしまう能力は圧巻だった。
日本代表の右サイドには、久保建英、堂安とライバルが多い。特に今回はスペインリーグで結果を出している久保が、ドイツ戦で先発するのではという予想が多かった。しかし、この2試合でのパフォーマンスを見れば、森保監督が伊東を先発で使うのもわかる。今年30歳になったとはいえ、まだまだ進化している感じがした。
二人目は伊藤敦樹。トルコ戦の代表初ゴールとなった先制ゴールは圧巻だった。代表2試合目とはいえ、デビュー戦は追加招集でほとんどトレーニングに参加できず、ぶっつけ本番での出場。だから今回が本当のデビュー戦といってもいい。自分の形とはいえ、堂安に当ててリターンを貰ってからのシュート。つまり、人を使って自分の形に持ち込んだ。デビュー間もない時期は、なかなか自分のプレーができないものだが、周りの選手を使う余裕があるのだろう。フィジカルでも負けていないし、これからが楽しみな選手だ。
そして3人目の「イトウ」が左サイドバックの伊藤洋輝。中2日というハードスケジュールの中で唯一、2試合連続フル出場を果たした。右サイドバックの菅原由勢がハマっているが、左サイドバックはまだまだ流動的といっていい。それでも森保監督が、中2日の連戦でも伊藤を先発で使ったのは、それだけ期待している証拠だろう。
元々、大型ボランチとして注目され、センターバックに転向し、シュトゥットガルトに移籍しても3バックの左が主戦場だった。
今季からシュトゥットガルトでも4バックの左サイドバックで先発しているが、個のポジションでは、まだまだ発展途上の選手。
10月には、カナダ、チュニジアとの強化試合がある。伊東純也には、久保、堂安とのポジション争い。伊藤敦樹には、遠藤航、守田英正という高い壁への挑戦。伊藤洋輝はさらなるレベルアップが期待される。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。