さすがにこれは、ジャニーズファンも怒り心頭に発して…という心境なのだろう。それもそのはず、9月26日発売の「サンデー毎日」の表紙タレントはSexy Zoneの松島聡。ところがトップの「総力渾身特集」のタイトルを見ると〈ジャニーズ性加害事件と日本社会の民度〉とある。と同時に巻頭カラーグラビアには松島が登場し、〈僕にしかできないことをずっと探していた〉と題した松島のインタビューも掲載されているのだ。松島の顔が大きく写った表紙は、その写真の真下に大特集のタイトルがデカデカと配置されている。
〈まじでありえないってさすがに…〉
〈怒りで糾弾したい気持ちと誰の目にも触れてほしくない気持ちが…〉
〈まぁもう二度とないよねお互いに〉
〈こんなことするなら表紙メンカラで塗りつぶしたシルエットでよかったわ〉
ファンが次々とSNSで憤激の声を上げるのも無理はなかろう。ジャニーズを取材する芸能記者も、やはり同情的だ。
「ジャニーズ問題を読み物の目玉にするなら、松嶋の表紙とインタビューを次号に回すなどする配慮がないと、可哀そうではありますね。事務所の問題でタレントイメージは最悪ですが、このところ松島が健闘していたのは事実。2018年に突発性パニック障害を発表して一時期は休養に入りましたが、2020年に復帰した。9月27日からは東京・表参道でアートの個展も開催しています。髪型をK-POP アイドル風にしたところ、これが大ハマり、今が最もイキイキしているのではないでしょうか。先日、ゲスト出演したラジオ番組では『ジャニーズ事務所の社員食堂でカニクリームコロッケを始めました』的な発言で、ファンを和ませたことも話題になりましたね。今回の『事件』は、表紙と中身をチェックしていたジャニーズの広報担当が辞めてしまったことと、今はもう強く口を出せないことで、このような事態になったのでしょう」
とはいえ、記事を読んでみると、ジャニーズの性加害事件をただ糾弾しているわけではなく、どちらかといえばメディアの罪や見識を問い、スキャンダルを機に一斉に関係を断とうとする広告業界や企業の認識を疑問視するほか、ジャニーズタレントを擁護するくだりもあった。一定の配慮はあるのだろう。
なお、「サンデー毎日」の「編集長後記」には、次のような事情説明がある。
〈前号に引き続き「ジャニーズ性加害問題」について報じました。9月7日の記者会見でジャニーズ事務所は、長年にわたるジャニー喜多川氏の性加害を全面的に認めました。本誌は深刻な人権侵害であり、あってはならないことだと重く受け止めています。これまで同事務所所属のタレントを表紙に起用してきましたが、今後は被害者への救済や経営刷新の具体策が実行されるまでは当面見合わせ、注視していきます。今号表紙は、9月7日以前に撮影されたもので、予定通り掲載しました〉
この号をもって現編集長が退任し、次号から交代することも告知されている。表紙と特集記事の強行にはそうした社内事情もあったのだろうが…。
いずれにしても、形としては松島のメンツが丸潰れ、そして思わぬ恥さらしになったことだけは確かだろう。
(小津うゆ)