サッカーJ1リーグの首位攻防戦が完全に蚊帳の外だ。2位横浜M-首位神戸が勝ち点差1で9 月29日に日産スタジアムで激突するが、日本代表・森保一監督が視察を行わない。
10月4日には国内で行う親善試合(13日・新潟、17日・神戸)のメンバー発表を行うが、森保監督は「代表に呼びたい選手はたくさんいる」とコメントしながら今回も海外組の招集が中心になる。
「今週、森保監督は横浜M-神戸ではなく、浦和-横浜FC、C大阪-湘南というJ2降格争いが絡む有力クラブの試合を視察します」(サッカー担当記者)
首位を行く神戸には元日本代表FW大迫勇也がいる。Jリーグ国内組として歴代最高額となる4億円プレーヤー(金額は推定)だ。「大事な試合で決めるのがサコ(大迫)。必ず(ゴールを)とりますよ」(神戸・吉田孝監督)と今季は絶好調。ここまで19ゴールを放ち得点王争いのトップに立つ。
その大迫は第一次森保ジャパンでは主力FWとして招集され続けてきた。ところがW杯カタール大会のメンバー発表で「落選」。しかも今回は優勝争いという大一番で、大迫にとって自身最多の20ゴールがかかる試合でありながら、森保監督があえて視察しない。
「これでは海外組重視のこれまでの外国人監督のやり方と何ら変わりはない」とぼやくのは、Jクラブの強化担当者だ。
「だからJリーグでは、さほど実力もない若手選手が猫も杓子も海外に移籍させてくださいと言ってくる。海外のクラブみたいに高い移籍金で獲得してくれる訳じゃないんですけどね」
好調を続ける大迫に今月の欧州遠征で代表復帰の声が大きかったが、森保監督は「いいプレーをしているのは選考の段階で確認しています。この先に向けて総合的に考えた」と決断しなかった。その結果ドイツにはW杯に続く2連勝、トルコにも勝利して最高の結果を出している。
「サッカーの代表選手の招集については監督の専権事項。負けたらすぐ監督解任が話題になるのは『勝てる選手を他にいるのに選ばなかった監督が悪い』という論理のためで、他のスポーツよりもより結果責任が問われる。ただ、森保監督は結果を残しているだけに、海外組重視の姿勢はしばらく変わらないでしょうね」(前出・サッカー担当記者)
日本人で最もゴールを取り続けている選手が代表に呼ばれない、この不可解な状況は今後も続く。
(小田龍司)