「日本中を熱狂させたWBC中継の視聴率が、軒並み40%超え。これでサッカー人気がどうなるのか心配でしたが、国立競技場に満員の観客が押し寄せたのを見て、ホッとしました」
日本サッカー協会関係者がこう言ってひと安心したのは、3月24日に行われた国際親善試合キリンチャレンジカップのウルグアイ戦である。FIFAランキング20位の日本に対し、ウルグアイは16位と格上。昨年のW杯カタール大会後、初めての国際親善試合だった。
ドイツ、スペインを撃破し、W杯ベスト16に進んだ日本のサッカー人気はウナギ上りだったが、そこに割って入ったのが野球だったのだ。サッカー協会は、サッカー人気が落ちるのではないかと危惧していたのである。
「対戦相手が強豪ウルグアイだという理由もありますが、選ばれた日本のメンバーが欧州から呼んだ三苫薫や堂安律など、W杯で活躍した選手たちでしたから。彼らのプレーをナマで見たかったんじゃないでしょうか」(サッカー担当記者)
世界一競技者が多いスポーツがサッカーであり、世界で人気がある。一方、日本のNo.1スポーツは長らく、野球だった。子供たちが贔屓球団の帽子を被るのが当たり前の時代が続いたのだ。
サッカー協会はかつて、ボランティアが封筒貼りなどの雑務をこなしていた。地上波テレビは毎晩のように野球中継を流し、サッカーは日本代表の国際試合でも中継されない時代が続いた。
「野球人気を目指すようなことすら考えることもできないほど、野球とサッカーには格差がありました。ようやく今、サッカーも野球並みの人気を維持できるようになった」(前出・サッカー協会関係者)
今回のウルグアイ戦では、守備の要である吉田麻也や、サイドバックの長友佑都、酒井宏樹は出場せず、若い選手が起用された。主将は遠藤航であり、次のW杯でも指揮を執る森保一監督が、新たな布陣をどうするのかが興味深い。
試合は日本が後半30分に追いつき、1対1で引き分けた。日本期待の久保建英(レアル・ソシエダ)は体調不良でベンチ外だったが、今後は久保や三苫が日本代表を引っ張っていくことになるだろう。前出のサッカー担当記者は言う。
「6月と10月にも国際親善試合ができるので、海外で活躍している選手を呼集できますが、対戦相手はまだ未定。サッカー協会が魅力的な強いチームを相手に選ぶかどうかが大事だと思います。ファンを満足させてほしいですね」
3月28日には同じくキリンチャレンジカップで、コロンビアと激突する。