18年間の現役生活にピリオドを打った巨人・松田宣浩が10月1日、ヤクルト戦(東京ドーム)の終了後に引退セレモニーを行った。
前日の9月30日、2軍イースタン・リーグの最終戦(対西武)のジャイアンツ球場では巨人・二岡智宏二軍監督、中田翔に囲まれて二軍選手全員と記念撮影。ファンからの感謝が綴られたホワイトボードに「皆さんありがとうございました!!」というメッセージを添え自身のSNSで発信していた。
現役引退を決めた巨人生え抜きではない外様の松田が、1、2軍からこれほどまで愛されたのは、過去にない異例の光景だ。
「今季の巨人の2軍は常にいい雰囲気でした。全て松田のおかげですよ」(別の巨人担当記者)
そもそも松田が今季巨人に移籍してきたのは、17年間に在籍したソフトバンクが昨年9月に戦力外通告をしたことがきっかけだった。
「引退するか退団するかの選択を迫られた松田は現役続行を決意。それをソフトバンクの王(貞治)会長が『巨人なら十分、戦力に成る』と橋渡しをしました」(巨人担当記者)
松田の引退は今オフ、巨人で吹き荒れる「粛清」の一環ではない。40歳まで現役にこだわり、本人から球団に「引退したい」と報告があった。
巨人にFA移籍で入団した選手は現役引退後にコーチや球団職員など「終身雇用」が約束されている場合が多い。松田の場合はFAではないが、巨人では引退後はコーチとして契約するオファーがあった。選手の中からも「松田さんはコーチになれないのですか?」と逆取材する選手もいたという。
気になるその今後だが、本人は「今年は(福岡から)単身で東京に来ました。今後は父親として2人の子供や妻を支えることをしたい」と話している。巨人のコーチ人事は原監督が全権を握っているが、2年連続のBクラスでその編成権も風前の灯か。ソフトバンクでも復帰待望論がある松田にとっては、その方が都合がいいのかもしれない。
(小田龍司)