今年のプロ野球も交流戦が終わり、15年ぶりに古巣の阪神に復帰した岡田彰布監督の動向に注目が集まっている。
中日戦(6月27日・甲子園)ではようやく連敗が「5」で止まった。5月には首位に躍り出たことで、関西マスコミでは早くも「優勝や!」と18年ぶりのリーグ制覇の空気満載だった。ところが交流戦では10位と大ブレーキ。リーグ戦再開後のDeNA戦は3タテを食らった。
岡田監督は23日のDeNA戦後、囲み取材を今季初の拒否。発信好きの岡田監督が何一つ話さずに「完全黙秘」で球場を後にしたのだから一大事だった。ところが27日の中日戦では11-3の圧勝とあって、(5連敗中は)ベンチが暗かったという担当記者の問いに「暗ないよ。何で暗いの」とさらりと言いのけた。
「公式に言ったことはすべて書いていい」。岡田監督は記者にこう宣言している。
「担当記者なのにそんなことも分からんの? しっかり野球を勉強せなあかん、とよく言われますが、後で必ずフォーロをしてくれる」(阪神担当記者)
と、歴代監督と違いその関係も上々。阪神に対する報道は「選手に甘く監督にはキツい」が常識で、監督候補者はすぐには決まらない。そんな中、今回の岡田監督の再登板は「最後は阪神でと思った」と自身の「立候補」で実現したわけだが、その裏には燃えたぎる「執念」がある。
阪神が交流戦に首位で突入したのは今年が3度目。過去2回はいずれも逆転で優勝を逃している。特に2008年は2位に13ゲーム差をつけて7月にはマジックも点灯したが、最後は巨人にまくられて岡田監督は阪神を去った。この時の巨人は今と同じ原辰徳監督である。
シーズン前に大型補強について岡田監督は「そんなん全くいらん。考えてもおらん」とコメント。スランプが続き6月に入って打率1割台だった阪神の若大将・佐藤輝明をあっさり2軍へ落とした。原監督の手法と真逆を行くのが岡田流。優勝という言葉を「あれ」と言って封印しているが、巨人を倒して優勝し、原監督を辞任へ──。これこそ、岡田監督が復帰した最大の理由ではないか。
(小田龍司)