10月22日投開票で行われる国政2補選に向け、自民党と立憲民主党の双方がピリピリしている。
予定されているのは、衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区の両補欠選挙。10日告示の長崎4区は、自民党の北村誠吾元地方創生相の死去に伴うもの。自民は金子原二郎元農相の長男で元証券マンの金子容三氏が公認候補として出馬予定。対し立民は比例の末次精一衆院議員を擁立する。
5日告示の参院徳島・高知選挙区は、高野光二郎参院議員の秘書暴行という不祥事での辞職を受けての選挙。自民は前高知県議の西内健氏が出馬を表明しており、一方の立民は無所属で出馬する広田一氏を推す。
2補選とも事実上の自民VS立民候補系の構図だが、自民党幹部は「2議席とも野党が強いという事前情報が流れている」と懸念する。というのも、長崎では金子氏が歴代の名門政治家一家で毛並みが良いとは言っても、新人で地元には馴染みが薄い。対し立民の末次氏は前回の選挙で、亡くなった北村氏と大接戦を演じ約500票差で敗れた強力候補。地元で末次氏の知名度は抜群だからだ。
参院徳島・高知選挙区は、野党が支援する広田氏は参院議員2期、衆院議員1期を務め、選挙区内外で知名度は高い。対し西内氏は元高知県議だけに、知名度は高知の一部でしか知られていない。加えて辞任した高野氏は離党したとはいえ、元自民党だけに風当たりが強いというのだ。
こうした事情を受け、先の自民党幹部はこうも言う。
「しかも今度の選挙、陣頭指揮を執るのは内閣改造で党選対委員長に任命され小渕優子氏でしょ。今回、重要ポストに決まるや9年前の自らの政治資金規制法疑惑をやっぱり蒸し返され涙ぐむ有様。イメージが悪すぎるし、当然、厳しい選挙戦になるでしょう」
今、永田町では年内解散の話がくすぶっているが、自民2連敗なら解散どころか岸田政権そのものが持たない可能性も出てくる。2021年には、菅義偉内閣が衆参補選などで3敗し、退任の引き金となった。
ただ、一方ではこんな指摘をする野党議員もいる。
「野党候補の知名度は勝っていても、今の立民、泉健太体制に疑問を持つ国民は多い。だから党支持率が伸びないし、代表に対する不満も高まっている。実は野党候補のほうが厳しいという見方が強いんです。ここで連敗すれば『泉体制では低支持率の岸田にさえ勝てない』という声が噴き出し立民内でクーデターの可能性もある」
与野党ともに絶対負けられない選挙のようだ。
(田村建光)