今週から東京、京都に舞台は移る。本格的な秋競馬が始まるわけで、同時にGⅠ戦が師走まで怒濤のごとく続く。
その東京の開幕週のメインは天皇賞・秋の前哨戦、毎日王冠(芝1800メートル)で、同じく京都大賞典(芝2400メートル)も盾の前哨戦だ。ただ、本番が芝2000メートルであることを思えば、京都大賞典は少々、趣を異にする。ジャパンCや有馬記念にホコ先を向けている馬が少なからずいて、結果しだいでは賞金的に出走権を得ていても、盾をスルーする傾向があるのだ。
毎日王冠も同様で、マイルCSに主眼を置いている馬はここがいい〝叩き台〟だと、ローテーションを考慮して参戦する馬もいる。シュネルマイスターはマイル戦がベストなだけに、まさにそのクチと思われるが、ここで好走して選択肢が広がれば、陣営としては言うことなしだろう。
まずは毎日王冠の予想から。頭数は少ないが、前記したシュネルマイスターを筆頭として、マイル戦を主眼に置くのは、ヴィクトリアM、安田記念を連覇したソングライン、ウインカーネリアン(東京新聞杯、関屋記念)、エエヤン(ニュージーランドT)といったスピードを武器にしている馬。もちろん、ハナから盾狙いのジャスティンカフェや3歳馬のホウオウビスケッツなど顔ぶれは多彩で、どんな競馬が展開されるか興味は尽きない。
過去の傾向では、02年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単での万馬券は6回(馬連は3回)。この間、1番人気馬は10勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着4回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は4回あり、中穴傾向のGⅡ戦とみてよさそうだ。
年齢的には斤量面で恩恵がある3歳馬に注目。出走頭数が少ないわりによく連対を果たしていることを思うと、エエヤン、エルトンバローズ、ホウオウビスケッツの軽視は禁物だ。
こうしたデータを考慮すると、馬券的には人気、有力どころから連軸馬を選び、手広く流す作戦が筋だと思われるが、当方が期待したいのもその3歳馬、ホウオウビスケッツを本命視したい。
何といっても生きがよく、上り調子にある若さがいい。前走のダービー(6着)以来になるが、秋はここを初戦と決め、しっかりと調整されてきている。乗り込み量は豊富で、臨戦態勢は整ったとみていいだろう。
父マインドユアビスケッツはスピード豊かなスプリンターだが、母の父は芝2000メートルの香港GⅠクイーンエリザベス2世Cを制したルーラーシップ。そして祖母の父はディープインパクトと、長めの距離を得意としてきただけに、2000メートル前後の距離は最も向いているはず。しかも近親にキングカメハメハがいるように、血統も文句なしだ。
上り調子に加えて血統もいい。ここはチャンス十分とみた。
穴とみたいのも3歳馬のエエヤンだ。マイル戦で3勝をあげている実績からマイラーのイメージが強いが、折り合い面に難があるわけではなく、1800メートルは守備範囲。
こちらも近親に女傑ヒシアマゾン(エリザベス女王杯)など活躍馬が多くいる良血。一発があって不思議はない。
一方の京都大賞典は、ブローザホーンに期待だ。
牡馬にしては420キロ台の小兵だが、芯がしっかりしてきて一戦ごとに地力強化してきている。京都で勝ち鞍も挙げており、ここは初重賞制覇のチャンスだ。