顔や手足にできる小さなできものの「イボ」。ウイルス感染が主だが、加齢や紫外線が原因で発症する「非ウイルス性イボ」の場合もある。
「ウイルス性イボ」は、皮膚にできた傷口からウイルスが入り込んでしまうことによってできる。ウイルスは、皮膚の下でしばらく潜伏しているが、増殖して皮膚を押し上げ、イボが発症する。「ウイルス性イボ」は人から人にうつる可能性があるので注意が必要だ。
代表的なイボとして、ヒトパピローマウイルスに感染することで起こる「尋常性疣贅」が知られている。手の指や足の裏などに発症しやすい。丸みを帯びた形で、表面はザラザラとしている。多くは肌色や白色、褐色で、痛みや痒みといった症状はないのが特徴だ。
「扁平疣贅」は、顔や腕などにでき、こちらもヒトパピローマウイルスが原因だ。ニキビと間違われやすいため、自分で削ったりすることにより、イボが増えてしまったケースもある。
「非ウイルス性イボ」には、「老人性イボ」「軟性線維腫」などがある。「老人性イボ」は「脂漏性角化症」と呼ばれ、紫外線や老化が原因で生じる。顔や手の甲、腕などの露出している部分に発症しやすい。色は黒色や褐色で、表面がザラザラしているのが特徴だ。
「軟性線維腫」は、首周りや腋の下、鼠径部などの皮膚が薄い部分に多く見られる。褐色や黒色で、やわらかく出っ張った形をしている。
イボは子供から高齢者まで誰にでも発症する「できもの」だが、痛みや痒みなどの症状を伴わない場合も多いため放置してしまいがち。前述したように自己流のケアで悪化させてしまうケースもある。
イボが大きくなっていたり、数が増えた場合には、早めの皮膚科の受診が望ましい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。