小さなデキモノの「イボ」は、加齢に伴い増加する。特に気になるのが「老人性いぼ」だ。
これは医学的に「脂漏性角化症」と呼ばれるもので、皮膚の老化現象の一つ。見た目は褐色や黒色が多く、大きさは直径数ミリから2〜3センチになるものまである。「老人性色素斑」のシミとは異なり、イボの表面が硬く盛り上がっていて、ザラザラしているのが特徴。中年以降に多く見られるが、30代頃から現れ始める人もいる。
原因は、皮膚の老化や、紫外線によるダメージだ。肌のメラニン色素は、紫外線を吸収して肌を守る役割を担っているが、紫外線を浴びすぎるとメラニンが大量に生成され、色素沈着を起こし、シミとなってしまう。それとともに皮膚細胞のタンパク質が異常に増殖し角質が厚くなることで、皮膚が盛り上がり「老人性いぼ」を発症する。
特に日光を浴びやすい顔や頭、首、背中、手の甲などにできやすい。まれにかゆみを伴う場合もあるが、基本的に痛みがなく、自覚症状はない。ウイルスが原因で発症する「尋常性疣贅」などとは異なり、他の人にうつる心配もない。
放置しておいても特に問題はないと考えられているが、自然に消えることはないため、もし気になるのであれば皮膚科で適切な治療を受ける必要がある。
基本的に保険外診療だが、医師の判断によっては保険適用となるケースもある。
イボが小さければ、液体窒素やレーザー治療によって比較的簡単に取り除くことができる。
「老人性いぼ」は、加齢や紫外線により誰でも発症するが、最小限にとどめるためには徹底した紫外線対策がポイントだ。日焼け止めはもちろん、日傘やUVカット機能の衣服などを利用しよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。