朝晩はすっかり冷え込む季節に入り、これから冬へ向けあったかメニューの定番といえば「クリームシチュー」だろう。
そのクリームシチューといえば、ご飯にかけるかかけないかが長年議論が続く決着のつかないテーマとなっているが、ハウス食品が実施した全国調査によると、クリームシチューをご飯にかける人は「約3割」と少数派という。
「ハウス食品が今年2月1日~7日にかけ、各都道府県別に10代~60代男女の計8460人にクリームシチューに関するアンケート調査を実施しました。結果、クリームシチューと一緒に食べるのは『ご飯派』が66.4%で、『パン派』の21.5%を圧倒。しかしクリームシチューを『かける派』は32%と、『分ける派』の68%を大きく下回っています。なお『かける派』が多いのは沖縄県の61.7%、青森県の49.6%、東京都の48.5%の順に続き、若い世代の方がかける派の方が多く、年代が上がるにつれて『分ける派』が増える傾向にあるといいます」(フードライター)
ちなみに、ハウス食品が同様の調査を2017年に実施した際には「分ける派」が58%、「かける派」が42%と拮抗しており、「かける派」がこの6年で10ポイントも減少している。
22年3月には「ご飯にクリームシチューをかけたら『育ちが分かるな』って言われた」といった内容の投稿がSNSで大きな話題になるなど、《シチューをご飯にかけるのはマナー違反》《クリームシチューってほぼ牛乳だし、それをご飯にかけるのはあり得ない》といった声も根強く、かける派を離脱した人も少なくないようだ。
「クリームシチューは洋食だと思っている人も多いと思いますが、日本生まれの日本食です。戦後、子どもたちに栄養のある食事を与えようと開発されたのが具材を脱脂粉乳で煮込んだ『白シチュー』で、これが当時の子どもたちに大人気だったことから、簡単に家庭で作れるようにと1996年、ハウス食品が『シチューミクス』を発売。幅広い世代にクリームシチューが食べられるようになりました。つまりクリームシチューの歴史はそこまで古くはなく、そこまで人の目を気にする必要はないと思いますよ」(前出・フードライター)
そもそも、クリームシチューのパイオニアであるハウス食品は2017年からご飯にかける専用シチューである「シチューオンライス」を発売している。クリームシチューをご飯にかけることで「育ちがわかる」ということはないのだ。
(小林洋三)