7月2日の対局で、連勝記録が29連勝でストップした将棋界の新星、藤井聡太四段。これまでの連勝街道ですっかりブームとなったのが、将棋を指さずに観るファン「観る将」だ。
「将棋の棋譜を映しても、わからない人にはおもしろくありませんし、映像的にも大きな変化がありませんから、どうしてもテレビは周辺情報のレポートを盛り込んでしまうのです。とはいえ、今回話題になった昼食紹介は藤井四段のフィーバーでテレビが始めたわけではありません。実は、もう十数年前に将棋対局のネット中継の礎を築いた将棋記者が始めた試みだったんです」(週刊誌記者)
かつての将棋ブームを振り返ると、例えば羽生善治三冠が中学生棋士として登場した80年代から活躍を始めた90年代の“羽生ブーム”では、対局時に何を食べていたかという報道はほとんどなされていなかった。
「食事の紹介を始めたのは、00年代はじめにネット中継の黎明期を支えた将棋観戦記者の松本博文氏が考え出したといいます。ネット中継でどう将棋の魅力を伝えるかを試行錯誤する中で、ただ、面白いだろうと思い、伝え続けたそうです。ネット中継で、将棋のわからない人でも楽しめる『観る将』ブームを作った功労者と言えるでしょう」(前出・週刊誌記者)
全国の視聴者が将棋とその世界、そして藤井四段の快挙を楽しめたのは、そんな松本記者による努力の背景があったのだ。
(伊藤その子)