今、昭和レトロがブームになっている。昭和のファッションがリバイバルされ、昭和の町並みを模した商業施設が登場。当時の歌謡曲が人気になっている。
鉄道業界もその例に漏れず、昭和ブームの波が来ている。むしろ鉄道のほうが昭和人気は高いかもしれない。昭和の車両を使った臨時列車が走り、国鉄時代の塗色が復活している。
そんな中、昭和レトロの決定版とも言える列車を静岡県の大井川鐵道が運行する。コンセプトは「昭和の日常を追体験できる非日常」。大井川鐵道が運行しているSL列車「かわね路号」の旧型客車を臨時の普通列車として運転する「普通客車列車」だ。
10月から12月までののべ13日間、大井川本線の金谷駅から川根温泉笹間渡駅まで6便が運行される。
魅了はなんといっても旧型客車だ。鉄道ライターは、
「旧型客車は昭和10年代から30年代に国鉄が製造した客車で、残っているのはわずか。大井川の旧型客車の内装はほぼ当時のままで、当時の雰囲気を残しています(写真)。これをSLのような観光列車ではなく、日常の列車として楽しめる点が新しいといえます」
運行時間は午後から夜にかけて。大井川鐵道は、昼と夜で異なる風景や見え方を楽しんでほしいとしている。
魅力は他にもあり、
「ワゴンサービスの車内販売が行われます。車内販売員が不足しているためJR東日本などは車内販売をやめていますが、昭和は当たり前にありました。その雰囲気を味わうだけでも乗る価値がある。また1往復目の家山駅で電気機関車の位置を入れ替える『着回し作業』が行われる。これも昭和の長距離列車の旅ではよく見られた風景です」(前出・鉄道ライター)
車内販売の利用券1000円分がついた1日フリーきっぷが販売される。運転日を大井川鐵道の公式サイトで確認して、ぜひ乗りにいってほしい。
(海野久泰)