サッカーJリーグが「秋春制導入」に舵を切った。シーズンの開幕をこれまでの2月から8月に変え、2026-27年シーズンから移行する考えだ。
Jリーグは現在、J1からJ3まで全60クラブで編成されているが、
「反対の意思表示をしているクラブが10クラブ前後あります」(サッカー担当記者)
「これは感情論ではない。できないものはできないと言っている」と声を上げるのは、J1新潟・中野幸夫社長だ。8月開幕となれば必ず真冬の試合があるためだ。そもそもJリーグはこれまで秋春制移行には消極的だった。降雪地域の対策が不完全な上に、
「移行するなら全60クラブが全会一致で賛成した上で実施したい考えだった」(Jリーグ幹部)
降雪地域のクラブは真冬の試合開催は観客動員が激減すると声高に主張している。今回、秋春制の移行はJリーグ主導で動いており、「降雪時期には中断期を入れて対処する」としている。しかし新潟のような降雪地域のクラブでは「真冬にアウェーゲームが増えて、ファンサポーターの負担も確実に増える」(中野社長)。
また、ある降雪クラブのフロントは「除雪もピッチだけではありません。観客席やスタジアムまでのアクセスだって安全に歩ける対策もしなくちゃいけない。秋春制ありきでのJリーグの議論には正直、不可解です」と続けた。
ではなぜ今、秋春制にこだわるのか。そこには2022年に就任した野々村芳和チェアマンの存在がある。
「チェアマンは1期2年が任期。初代の川淵(三郎)さんをはじめ、前任の村井(満)さんも、1期目で必ず目に見える実績を上げてきた。野々村さんの場合、このまま何もしなければ何の実績もないまま終えることになりますからね。加えて日本サッカー協会の田嶋幸三会長が長年、秋春制移行を主張してきたこともある」(別のサッカー記者)
今回、秋春制の移行に向けては野々村チェアマン主導で行なわれている。Jリーグはこれまで全試合を生配信してきた「DAZN」が、来季からJ3の配信を行わないことを決めた。そのJ3クラブも多くの降雪地域がある。
あるJ3クラブの社長は「資金に余裕にないJ3クラブに降雪対策をしろ、と言っても土台無理な話。今回Jリーグの秋春制移行は、それが嫌だったらとっとと強くなれ! ということを突きつけられた思いです」と、身内のJクラブからもリーグへのブーイングが燻っている。
Jリーグでは年内に秋春制移行決定のシナリオを押し進めているが、どうなることやらだ。
(小田龍司)