突然の悲報だった。1980年代のビジュアル系バンドブームを牽引した5人組バンドBUCK-TICKのボーカル・櫻井敦司さんが10月19日午後11時19分、脳幹出血のため死去したと、同バンドの公式サイトで発表された。
櫻井さんは19日、KT Zepp Yokohamaで行われたファンクラブ会員限定ライブ「FISH TANKer’s ONLY 2023」の1曲目を歌い終わった際にステージ上の階段でふらつき、転倒したという。そのまま立ちがることができず、2曲目、3曲目を座ったまま歌った後、スタッフに抱えられて退場。救急搬送され、ライブは中断していた。
奇しくも櫻井さんが倒れる前の10月15日、櫻井さんと同じく群馬県出身者による3大バンド「群馬の3B」(BOOWY、BUCK-TICK、back number)のうち、BOOWYのギタリストだった布袋寅泰が「日曜日の初耳学」(TBS系)に出演し、ライブ活動の「定年」を説いていた。
2021年の東京五輪開会式では、パワフルで人間味溢れるパフォーマンスで世界を魅了した布袋だが、林修氏にいつまでアーティストとして活動するかを尋ねられると「うーん」としばらく考え込んだのちに「そう長くは続けられないと思う」と心境を吐露した。続けて、
「モノづくりはやめられないと思うんですよね。多分、ライブはそう長くは続けられないと思う。やっぱりライブはどこかで区切らなきゃなと思ってますね。もうちょっと頑張ろうとは思ってます。ダラダラとやるつもりはないし、といっても、これしかできないんですよ。まだまだ頑張らないといけないんだけど、ぼちぼちのんびりさせてよって気持ちも(ある)」
今年9月に発表したアルバム「GUITARHYTHM 7」にちなみ、同シリーズ10作目を節目に、ライブ活動からは一線を引くことを示唆していた。
BOOWYのボーカルだった氷室京介は、ある音域の音が聞こえなくなった聴覚障害を理由に、2016年5月のライブを最後に無期限の活動休止に入っている。その後、以前から親交があったB’z松本孝弘のソロアルバムにボーカルとして参加しているが、現代の医療では聴覚障害は完治しないため、ライブ活動再開の見通しは立っていない。
10月21日には藤井フミヤが、喉の不調で北海道岩見沢市のライブを中断。翌日の旭川市のライブも中止したばかり。アラウンド還暦ともなれば、若い頃のように連日、ベストコンディションでライブに臨めるわけではない。ロックスターも、いつまでも若くはない。櫻井さんの訃報がただただ悲しい。
(那須優子)