自民党内からも反発の声が噴出している、岸田政権の所得税減税。冷静に考えれば、子育て世代に絞った減税・給付金、社会保障費削減、思い切ったガソリン減税、一時的な消費税引き下げなど、5兆円規模の財源があれば、妙案はいくらでも浮かぶ。岸田文雄総理はなぜ、悪筋の所得税減税に固執しているのか。自民党議員のベテラン秘書は、
「2浪をしても東大に合格できなった岸田総理は、東京大学の秀才ぞろいの財務省幹部を動かすことが楽しいようだ。ただ、それは逆に、財務省の手のひらで踊らされていることになる。総理はそれに気づいていない」
財務省は巧みに総理の東大コンプレックスを利用。森永卓郎氏の著書のごとく「ザイム真理教」にまんまと「入信」させた、財務省の勝利なのだ。
子育て関連の給付金、制度改革となると厚生労働者などが関係し、財務省の思惑通りにはいかない。ガソリン税、消費税などの仕組みに関することは「一度決めたことは絶対に妥協しない」という財務省の鉄の掟がある。そうなれば選択肢は一気に狭くなり、増収分をどう還元するか。所得制限や額を調整するだけなら、財務省内だけで解決できる。総理はこの手に乗っかってしまった。
先に触れた森永氏の著書「ザイム真理教」は、財務省の実態を赤裸々に描いたもの。政治家をいかにシンパにするか、その「手口」も明らかにしている。安倍晋三元総理は経産省を重用し、財務省の影響力をそいできたが、岸田総理は見事に「洗脳」されたのだ。
岸田総理は開成高校出身。同校は多くの東京大学合格者を輩出し、早慶レベルは劣等生扱いされるほどの名門だ。2浪したが東大入試に失敗し、早大法学部に入った岸田総理は、東大に劣等感を感じていた。
だが日本のトップに上り詰め、東大出身高級官僚をアゴで使えるようになった。こんな快感はないだろうが、それこそ財務省の思うツボだった。操られるフリをして操る。「傀儡・岸田政権」を維持するため、財務省の省益に反する減税はさせなかった。だが国民は、それを見透かしている。岸田総理は「減税なのになぜ悪く言われるのか」と周囲に話しているという。
物価対策も踏まえ、消費税の一時引き下げにまで踏み込んで衆院解散をすれば、与党の大勝は間違いない。だがそれは、財務省が許さない。今のままの減税案なら年内解散は難しく、来秋の自民党総裁選前まで、解散は引き延ばすしかなくなる。東大コンプレックスが、政権基盤をじわりじわりと溶かしているのだ。
(健田ミナミ)