あのイチローが再び降臨。11月4、5日の2日間、北海道立旭川東高校の硬式野球部員を指導したのだ。同校は約2年前から、コーチ要請を出していた。昨年夏、甲子園出場まであと1勝としながら決勝で敗れた同校はこれまで、夏の北北海道大会の決勝で11回も夢破れている。これに「悲願をかなえたい。ちょっとでもきっかけになれたら」というイチローの男気で実現したものだ。
マスコミ嫌いでなかなか表に出ることが少ないイチローだが、球児を指導する時は別。メディアにとっては、イチローを取材する数少ない場となっている。球界関係者が事情を語る。
「引退してからテレビ番組やイベントに出演することはほとんどなく、自らのブランディングに重きを置いているようです。テレビ局はキャスティングするためにオファーを絶え間なく出していますが、あっさりと断られている。侍ジャパンのニュース解説やバラエティー番組の対談など、様々な交渉を持ち込んでも、出演するのはCMや女子野球とのエキシビションマッチぐらい。プライドが高く、イメージ戦略を非常に気にしているようですね」
イチローは2020年に「学生野球資格回復制度」の認定を受け、高校生を指導するのは旭川東高校で7校目(過去に智弁和歌山高校、国学院久我山高校、千葉明徳高校、高松商業高校、新宿高校、富士高校)。ところがこれまで、イチローの出身校である愛知工業大学名電高校には一度も足を運んでいない。なぜなのか不思議に思うが、
「イチローにとって、高校時代のことは思い出したくないようです。当時はサボりグセがあり、無理やり練習をさせられていたといいます。抑圧された寮生活を送り、3年最後の夏は甲子園にも行けませんでした。あまりいい思い出がないことも関係があるんじゃないでしょうか。とはいえ、オファーがあったのかどうかはわかりませんが…」(スポーツライター)
大物には大物なりの考えがあるのだ。
(田中実)