ハンバーガーチェーンの「バーガーキング」が10月26日に「氷川台駅前店」をオープンさせ、「国内200店舗」を達成した。2019年5月には99店舗のうち22店舗を閉店させることが明らかとなるなど日本撤退が囁かれたこともあったが、逆境から復活できた理由は何なのか。
バーガーキングは「マクドナルド」に次ぐ世界2位の規模を誇るハンバーガーチェーンだ。しかし日本での知名度は低く、1993年に初上陸したものの目標の100店舗を達成できず2001年には撤退を余儀なくされている。その後、07年に運営元を変えて再上陸を果たすと紆余曲折ありながらも100店舗目前まで拡大したが、19年5月に22店舗を一斉閉店。再び撤退の危機を迎えたかに思われた。
大量閉店はロッテリアの韓国法人が経営から離れた影響もあり、運営元のビーケージャパンホールディングスは「成長戦略を加速させるためのもの」と説明していたが、まさにここからバーガーキングのV字復活が始まったといえる。
「もともと同チェーンは直火焼き方式の質の高いハンバーガーを提供していたのですが、他チェーンと比べ価格設定が高めだったことがあり、なかなか利用者が増えなかった。それがコロナ禍となり本当に良いものにはお金を掛けようという風潮が追い風になったんです」(フードジャーナリスト)
その際、知名度アップに大きく貢献したのが広告戦略だ。
「マクドナルドに対して『私たちの勝チ』となる縦読みの垂れ幕を掲示したり、マクドナルドの店舗から見た時だけ立体に飛び出すハンバーガーの広告を出したりといった煽り広告が、ネット上で大きな話題となったのを覚えている人も多いでしょう」(前出・フードジャーナリスト)
また、他チェーンの相次ぐ値上げによって価格差がなくなってきていることも好影響を与えているという。
「今、マクドナルドの『ビッグマックセット』を郊外店で注文すると750円かかりますが、バーガーキングでワッパー系メニューのセットをクーポンを利用して注文すると700円前後で購入できるものもあり、バーガーキングの方が安い場合もある。であれば、より質の高いハンバーガーを食べたいと考えるのは当然で、利用者がどんどん増えているのです」(前出・フードジャーナリスト)
なお、バーガーキングは11月に店舗を新たに開店し、28年までに600店舗を目指すとしている。
(小林洋三)