お互いに「訴える」と、一歩も譲らぬ大ゲンカ。巨人お家騒動の主役である清武氏と渡邉会長の罵倒応酬は、監督とコーチの関係をも引き裂いた。来季のV奪還どころではない対立と不信の現場に、選手たちも閉口するばかりなのである。
衝撃の「清武会見」第一弾が開かれた翌日。巨人軍の宮崎・秋季キャンプのグラウンドでは、2人の男が浮かない表情で何やら話し込んでいた。原辰徳監督(53)と岡崎郁ヘッドコーチ(50)である。10分ほどの会話のあと、長くなりそうな話の続きは、場所を移して行うことになった。
仕切り直しの場は、宮崎市内の飲食店。両者の他に新任の橋上秀樹戦略コーチ(46)、秦真司バッテリーコーチ(49)を交え、グラウンドでの話し合いが再開される。
「お騒がせしました」
岡崎コーチの口から出たのは、原監督への謝罪の言葉だった。
一連の騒動を主導して渡邉恒雄球団会長(85)の逆鱗に触れ、解任された清武英利前球団代表兼GM(61)の会見では、「江川卓氏をヘッドコーチとし、岡崎ヘッドコーチは降格させる」という渡邉会長の発言が暴露され、清武氏がそれに猛反発したことも明らかになった。俎上に載せられた岡崎コーチはいわゆる「清武派」であり、清武氏の造反劇によって「渦中の人」となってしまったからだ。
その岡崎コーチに対し、原監督は「反清武」の立場。
「清武氏と原監督は最初はうまくやっていましたが、徐々に清武氏の現場介入が激しくなり、関係が悪化していった。お互いの意見が食い違い、原監督が求めるFA補強も、清武氏はことごとく却下しました。原監督は人事も含めた全権が欲しい。でも、清武氏はそれを許さなかった」(球団関係者)
対照的に清武氏に目をかけられた岡崎コーチは、巨人が提携するヤンキースにコーチ留学。その後、清武氏の計らいで二軍打撃コーチ、二軍監督などを経て、一軍ヘッドコーチにまで抜擢された。巨人担当記者が明かす。
「清武氏は岡崎コーチに、毎試合後にレポートを提出するよう、ひそかに命じていました。A4用紙で必ず1枚以上は書くように、と。今日の試合ではこの場面でこういうサインが出て失敗しました、などというものです。あるいはキャンプ中であれば、練習内容の詳細を報告する。清武氏はシーズン後、全コーチに1年を総括するレポートを書かせていましたが、岡崎コーチだけは免除だった」
さながら「スパイ」のような活動ぶり。原監督も岡崎コーチの行動には気づいており、
「岡崎コーチを警戒していたというか、『あいつの前ではフロントの批判はできないよね』『(清武氏に)何でも筒抜けになっちゃうから、変なことは言えないな』などと渋い顔でした」(前出・球団関係者)
2人の関係は、急激に悪化していったのである。
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