清武氏が引き起こした、渡邉会長へのたった1人の反乱劇。元読売新聞記者のジャーナリスト・大谷昭宏氏は「新聞記者として当然の行動」と支持を表明する。そして返す刀で、渡邉会長の独裁、独断を正当化する論理は認められない、と厳しく批判するのだ。
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清武氏の人格がどうであれ、僕は今回の彼の行動は支持します。絶対、認めるべきだと思いますね。
でないと、新聞記者の社会正義というのはしょせん、その程度のものだったのかと読者は思ってしまうでしょうね。
清武氏はかつて、経済事件などを取材する優秀な読売新聞記者として、企業のトップの責任やモラル、企業のコンプライアンスに厳しい目を注いできました。そして、場合によってはそれを紙面で記事にしてきました。
ところが、身内のことには目をつむる。あるいは見て見ぬ振りをして知らぬ顔をしたら、国民は他人のことはどんどん追及するくせに自分のことになるとダンマリかと、読売新聞の記事を読まなくなってしまうんじゃないですか。
今回のことは、ナベツネさんが球団の人事に関しては読売新聞グループの承認を得なければならないと、今になって抗弁しだした。確かに、会社の規約にはそうあるのかもしれないが、あとになって古証文を引っ張り出してきたという感じがしますね。
渡邉会長の横暴ぶりは、ノンフィクションライター・魚住昭氏の著書「渡邉恒雄 メディアと権力」(講談社)の中でも克明に描かれている。そこには、読売新聞大阪本社社会部の中核記者だった大谷氏も登場している。
〈それまで二十巻の単行本として読売出版局から刊行されていた(大阪読売の記事である)「戦争」シリーズが突然、出版打ち切りを宣告された。この当時(社会部長だった黒田清氏のグループの)「戦争」シリーズはよく売れていたから、理由は一つしかない。“渡邉社論”に反する本だからである。(中略)編集局長兼社会部長だった黒田は社会部長職を解かれ、編集局次長専任となった。
(中略)黒田が当時を回想する。
「元凶はナベツネですよ。(中略)彼が自分の言うことを聞かない者を次々排除していく人間だというのを痛切に感じた」
(中略)十月一日に発令された社会部の人事異動では黒田軍団を担っていた記者十数人全員が「A級戦犯」から「C級戦犯」まで色分けされ、社会部内の閑職か、地方支局へ飛ばされた。(中略)大谷の自宅には自称「会社の意向を受けた」記者からの電話がひっきりなしにあった。どの電話も内容は同じだった。
「黒田と縁を切れ。そうすれば希望のポストを用意する」〉
巨人のコーチ人事まで本社の取締役会で決めているというなら、過去10年、20年と遡って、グループ本社の取締役会で巨人のコーチ人事について、ああしろ、こうしろと具体的に侃々諤々やって決定したことがあるのでしょうか。ないはずですよ。
もしそんなことを裁判で言いだしたら、清武氏の弁護士から、ここぞとばかり攻撃されてしまうでしょうね。
一般常識として言うなら、
巨人という球団には編成権も予算権も認められている。であるなら、人事権も委ねられていると考えるべきですね。
そんなことはナベツネさんもわかっていると思いますが、これ以上ゴリ押しすると、読者からもソッポを向かれる。そのことを考えるべきです。
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