元巨人で野球評論家の江川卓氏が現役時代の「スピード表示」について言及し、野球ファンの間で物議を醸していた。
江川氏は先ごろ放送された「ナイツのちゃきちゃき大放送」(TBSラジオ)に出演した際、かつてのスピード表示について「昔はバッターの打つところを表示していた。今は初速といって、ピッチャーが投げる瞬間が出る」と説明。そのため昔は空気抵抗により今と比べると13~15キロぐらい落ちて表示されているとし、「いま150っていう表示は、昔でいうと137キロくらい」と語ったのだ。
江川氏は自身のYouTubeチャンネルで神宮球場で「153キロ」を計測したことがあると語っており、事実であればこのとき166~168キロ出ていたことになる。これは日本人最速の大谷翔平や佐々木朗希の165キロを超えることになる。
江川氏の速球を巡っては、2022年11月の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で、1981年9月9日の大洋戦の球速をAIで解析。当時のスピードガンで144.5キロだったが、実際は158キロだったことが判明している。
スポーツライターが語る。
「この時の解析では、江川氏の速球の1分間の回転数は2750回で、佐々木朗希の2520回、大谷翔平の2528回を上回っていました。速さで完全に2人の上を行っていたかは微妙ですが、球にホップがかかるぶん、余計に速くに見えたということでしょう」
テレビのスピードガン表示が始まったのは1979年のこと。80年代には江川氏の他、中日の小松辰雄らのスピード競演がファンを喜ばせた。近年は高性能弾道測定器「トラックマン」が導入され、球速だけでなく回転数やリリース位置、打者の打球角度などさまざまなデータが集積されている。もし、当時の江川氏が現代の球場で投球したら、いったいどんな球速が計測されたのだろうか。江川氏が大谷や佐々木を超えていたというのも、あながちただの憶測ではないかもしれない。(ケン高田)