巨人で活躍した江川卓氏と言えば、キレのあるストレートで三振に打ち取る圧巻の投球とともに、不用意に投げたように見えるボールをあっけなくホームランされ、マウンド上で首を傾げるといった姿も思い浮かぶ。世間はそれを「手抜きの1球」などと揶揄したものだが、主に巨人で活躍した角盈男氏が、元広島の高橋慶彦氏のYouTubeチャンネル「カープよしひこチャンネル」(10月3日投稿動画)に出演。その“首を傾げる”仕草の裏側を語った。
角氏いわく、江川氏には“3種類”のストレートがあったようで、「130キロ後半のアウトロー」「インコース高めの140キロ半ば」「150キロ以上の真ん中高め」がそれ。打者が初球から打ちに来ないだろうとの予測から、江川氏は「130キロ後半のアウトロー」を初球に投じていたのだという。
その初球について、「ところが彼も人間だから、真ん中行く時があるんだよ」と角氏。打撃に自信のないバッターほどカウントを追い込まれる前に初球を狙うが、そこに偶然コントロールミスの、江川氏にしてみれば球速を落とし際どいコースに投げ込んだはずストレートが甘く入り本塁打を食らう…といった図式だったのだそうだ。
江川氏の“初球”の考え方は、アマチュア時代に「勝ち」を宿命づけられた選手ゆえで、桑田真澄氏も入団早々、同様の考えを持っていることを角氏に明かしたのだとか。いずれにせよ、「手抜きでもなんでもない」と角氏が解説しているように、江川氏の計算しつくされた投球術を垣間見ることができる動画である。
(ユーチューブライター・所ひで)