来年、創立110周年を迎える宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)が一転、存続の危機に瀕している。理由は言うまでもなく、今年2月の週刊誌報道に端を発した、数々のスキャンダルだ。
下級生の顔にヤケドを負わせた「傷害事件」疑惑とイジメ、その被害者である劇団員の転落死。そして過重労働。警察は自殺とみているというが、それらの真相究明を拒んでいるかに見える隠蔽体質の歌劇団と、劇団員の自業自得だ。
宝塚歌劇団を運営する阪急が近く調査委員会を立ち上げ、再調査する方針だと地元紙が11月19日に報じたが、30年来の宝塚ファンですら、この遅すぎるタイミングには疑問と不信感しかないという。
「転落死した劇団員の上級生たちが来月退団すると、公式発表済みです。つまり先日、問題の宙組のうち4人がヒアリングを拒否した調査と同じく、下級生イジメの疑惑が出ている上級生たちの退団後に聞き取り調査を行うとしたら、何の意味があるのか。宝塚歌劇団と阪急がここまで疑惑の上級生を庇うことが、理解できません」
この宝塚ファンが疑義を深めるのには、理由があった。
「転落死した劇団員の同期、2017年入団の宙組103期生は入団当時、8人もいました。ところが退団者や移籍者が続出。転落死した劇団員を含めて、わずか2人になってしまいました。ファンも宙組の異常さには気づいていたので、助けてあげられなかったことが悔しいんです。転落死した劇団員も、この夏に退団予定でした。ところが同期が1人になってしまうことに心を痛め、退団時期を来春に延期した結果の転落死。今夏に退団していれば、彼女が亡くなることもなかった。宙組103期生はとうとう1人になってしまった。ロクに調査もせず、上級生の関与がないという結論ありきの歌劇団は、もう信用できません」
古参の宝塚ファンは創立110周年記念イベントに泥を塗り、宙組103期生の希望を奪ったイジメ加害者が刑事告訴されることを望んでいる。現役劇団員の集団退団がささやかれる同歌劇団。だが、陰湿なイジメに見て見ぬフリを続け、死人まで出した元ジェンヌらに対する世間の風当たりは、六甲おろし以上に厳しいだろう。
(那須優子)