古いプロ野球ファンなら誰もが知っているであろう「プロ野球を10倍楽しく見る方法」は、1982年に発売され、大ベストセラーになった江本孟紀氏の著書である。
江本氏は1981年8月に阪神のユニフォームを脱いで、現役を引退。この著書には何やら「秘密」があったようなのだが…。江本氏は自身のYouTubeチャンネル〈江本孟紀チャンネル「エモやんの、人生ふらーりツマミグイ」〉で、その背景を明かしている。現役を退き、遊び歩いているうちに、
「金がなくなってね。女房、子供を抱えて危ないな、この先…」
危機感を覚えた江本氏だったが、阪神ファンの日本テレビ・プロデューサーが、なんと江本氏をドラマに起用した。
「その出演料で、350万くらい貯まったんですよ」
一度は文無しから救われた江本氏だったが、
「そこに突然現れたのは、俺が昔『友達に金貸してやってくれ』と頼んだ人。その友達が『逃げて返さない』って言うから、これで勘弁してくれって返したんです。その時も文無しになったからね。せっかく貯まったのに。でもそんなことでトラブルになるのも嫌でね、一応、紹介してるからね。でもそれから本が売れ始めたんです。その売れ方が尋常じゃなかった」
結果、「プロ野球を10倍楽しく見る方法」は、100万部以上の大ヒット作に。1982年の年間2位の売り上げを記録した。そこから第2弾、第3弾と続編が発売、さらには映画化もされるなど、社会現象を巻き起こしたのだった。
まさに「情けは人のためならず」を地でいく成功体験なのである。
(所ひで/ユーチューブライター)