本命に稲垣抜擢も大接戦は必至だ
遅咲きの機動型は多くはなく、ファンの後押しがあれば簡単には失速しない。
「松戸記念」(12月6日【土】~9日【火】)に出走予定のS級S班、後閑信一、金子貴志、平原康多、浅井康太のうち、岸和田グランプリの出場権を得て、来年もトップ9の座を守ったのは平原と浅井。小倉競輪祭を勝った平原と1年間コンスタントに活躍した浅井は、来年も活躍するはず。また、このシリーズには競輪祭決勝戦に進出した稲垣裕之、佐藤友和らS1にも好調な選手がそろう。激戦が連続する4日間になりそうだ。
迎え撃つ地元勢では、石井秀治が満を持して参戦する。競輪祭は【2】【1】【8】【2】。一次予選からの成績で準決勝敗退も、トップクラスと互角に戦える手応えはつかんだ。今期が初のS1だったにもかかわらず、9月前橋オールスターでドリームレースに出走し、10月大垣記念で記念初V。遅咲きの石井が一気に大輪の花を咲かせたと言える。
まくりだけではなく、先行しても粘るようになったのが好成績につながった。この競走スタイルを貫けば、まだ伸びる。
6月宇都宮高松宮記念杯でGIウイナーの仲間入りを果たしたのが、稲川翔。その前後のGI3戦でもファイナリスト入りしているが、今回は10月千葉記念初日特選で落車棄権して以来の実戦になる。地元でのグランプリが控えている。まずは初日の走りに注目したい。
さて、並びと展開。S1だけで6人と層が厚い地元千葉勢で有力なのは3選手。実力S1の根田空史を先頭に、石井─海老根恵太で結束する。関東は平原─後閑と芦澤大輔─飯嶋則之で別線。西日本は中部の浅井─金子に、近畿の稲垣─稲川、中四国の原田研太朗─柏野智典、そして松川高大─坂本亮馬の九州両者。他では佐藤友と郡司浩平が圏内と見た。
本命には稲垣を抜擢するが、対抗の平原、3番手評価の浅井と石井も差はなく、大接戦は必至だ。
伏兵は、北野良栄(千葉・95期)、櫻井正孝(宮城・100期)、小原唯志(茨城・101期)の機動型3選手。
地元の北野は来期A1に降級する分、気合いが入る。S級入りして伸びた櫻井の先行力は軽視できない。そして、3月FI福井で初優勝を飾り来期S1に昇級する小原は、一線級相手にどこまで通用するか。果敢な戦いに期待したい。
◆プロフィール 山口健治(やまぐち・けんじ) 1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。
◆アサヒ芸能12/2発売(12/11号)より