今年6月、両親に対する自殺ほう助の容疑で逮捕された市川猿之助(48)。公判では、週刊誌のパワハラ記事をきっかけに将来を悲観した猿之助が、家族会議の末、母親から「あなただけを逝かせるわけにはいかない」と一家心中を選択。両親をあやめたものの、最終的には死にきれず、関係者に憔悴しきった様子で発見されたのだが‥‥。
司法担当記者が解説する。
「10月20日の初公判では、両親との生々しい家族会議の模様まで冒頭陳述で明かされた。猿之助被告が自殺の意思を示すと、父親の二代目段四郎さんが『一人になるのは寂しい』と一家心中を決意したとも証言。終始、反省した姿勢でしたが、最後の供述調書では『迷惑をかけた人に今後歌舞伎で償っていきたい』と歌舞伎役者としての復帰の意思が読み上げられた」
11月17日には懲役3年執行猶予5年の判決が言い渡され、その後、刑が確定。すると、早くも歌舞伎界からは早期復帰の声が上がっているという。梨園関係者の話。
「事件前までは猿之助といえば、最も集客力のある歌舞伎役者の一人でした。ただ世間的な常識では、執行猶予が明ける5年後まで待つのはあまりにも惜しい。そこで大物の支援による復帰案が熱望されているのです」
その大物こそ、「成田屋」を率いる十三代目・市川團十郎だと言われる。
「成田屋は元々猿之助と段四郎率いる澤瀉屋とは別格で歌舞伎界でも特別な存在。先代の三代目猿之助は、先々代の猿之助(二代目)と十一代目・團十郎との間でのトラブルが元で、なかなか脚光を浴びることができず、80年代に入り当時キワモノと呼ばれた『宙乗り』に挑み、魅せるスーパー歌舞伎で金看板になった実力者でした。一時は冷戦状態だった両家でしたが、先代猿之助の尽力もあり雪解け。今も香川照之こと市川中車のホステス暴行事件で謹慎後に助け舟を出して復帰に奔走したのは團十郎だっただけに、歌舞伎界の重鎮として、猿之助の後見役を期待されていますよ」(前出・梨園関係者)
猿之助と團十郎は、襲名以前の市川亀治郎と市川海老蔵の頃から公私にわたって親しい間柄だった。昨年末にも舞台で共演するなど「親戚のお兄ちゃん」的なフレンドリーな関係だった。
「四代目猿之助の名跡を事件で封印してしまう事態は歌舞伎界にとっては大きな損失。猿之助が明治座公演中に逮捕された際に代役として獅子奮迅の活躍をした市川團子が今後、歌舞伎界の人気を担うと言われているだけに、澤瀉屋の復興は團十郎の双肩にかかっていると言っても過言ではない。実は、團十郎も長男の勸玄くんが新之助を襲名したことで一段落したばかり。判決を受けて、團十郎も来年からは本格的に復帰に向けて働きかけをするそうです」
成田屋には三代目の番頭だった市川左團次も活躍中。猿之助復帰で「新生」澤瀉屋の復興へと動き出すのだろうか。