パッとしない日本大学の会見で異彩を放っていたのが、林真理子理事長とともに同席した第三者委員会答申検討会議の久保利英明弁護士だった。
黒地に白のピンストライプのスーツに、黒地にオレンジと青が鮮やかなネクタイ。久保利氏をよく知らないネットユーザーは「ドン小西かと思った」「演歌歌手か」「会見に不謹慎」などと呟くほど、キャラの濃さに目を奪われたようだが、日頃は「戦闘服」と呼ぶ緑や紫、赤に白のピンストライプのスーツを着こなしている同氏にしては、かなり抑えたコーディネートだった。
ネクタイはレオナールかヴェルサーチを愛用。ちなみにレオナールは「世界で最も美しいプリント」と称されるフランスのハイブランドで、「プロ野球界の月見草」野村克也氏の愛妻・野村沙知代さんも愛用していた。
ド派手なネクタイとスーツを「戦闘服」と呼ぶのにはワケがある。自らを「日本一黒い弁護士」と称する東大法学部卒の超エリート弁護士のライフワークは「総会屋対策」と「企業コンプライアンス」。荒れる企業の株主総会対策として「久保利方式」と呼ばれる、株主総会の総会屋一掃一括審議方式を考案した。勤務先の弁護士事務所に発砲されたほか、あの派手派手スーツの下に防弾チョッキを着ていた時期もあった。
「担当した企業の株主総会の最中、役員を殴った総会屋を久保利弁護士が投げ飛ばして現行犯逮捕したこともあります。企業から反社会勢力を一掃する手腕に長けた『黒い弁護士』の登場は、日本大学が『黒い人脈』に汚染されていることを匂わせました。田中英寿前理事長は逮捕前、暴力団幹部との関係を一部週刊誌に書かれています」
そう話すのは、全国紙運動部デスクだ。続けてこうも言う。
「12月4日の会見では、理事会でアメフト部廃部に反対する意見が出たことが明らかになりましたが、ここまで不祥事続きのアメフト部の廃部に反対するなんて、不自然すぎやしませんか。林理事長自身、8月の会見で『就任してからスポーツの方は遠慮があり、そちらに手を付けられなかった』と反省の弁を口にしていましたが、理事長を引き受けた当初は日大改革、競技スポーツ部改革がまさかこんな命懸けになるとは、思っていなかったのでは。そう考えると、4日の会見の歯切れの悪さも納得がいきます」
来月1月13日には大学入学共通テストが始まる。今回の会見を見て、日大を第一志望と決めた受験生はいたのだろうか。
(那須優子)