11月2日のサッカーJ1昇格プレーオフは東京国立競技場に5万3264人の大観衆を集めて行われ、東京ヴェルディ(J2・3位)と清水エスパルス(同・4位)が1-1のドロー。東京Vが年間順位のアドバンテージにより16年ぶりのJ1昇格を決めた。
しかし来季J1でFC東京、町田ゼルビア、そして東京Vと東京に本拠地があるクラブ3つの中で、東京Vは「来季J2陥落のNO.1候補です」(Jリーグ担当記者)などという声がもっぱら。横浜FCのようにすぐにJ2に陥落する可能性を大いに孕んでいる。
J1に昇格後、あっという間に降格してしまう理由の一つは、昇格しても資金面がネックで補強したくてもできないためで、特に東京Vは16年ぶりという久々の昇格だからなおさらのこと。昨季も補強が全敗しており、このオフも江尻篤彦強化部長は消極的だ。
これにプラスした問題がある。江尻強化部長はJ2・ジェフユナイテッド千葉のOBでもある。現役時代も千葉一筋の叩き上げで監督も務めたが、まったく「結果」を出せていない。
「Jリーグでは、結果を出していない監督やGMがJ2やJ3のクラブと契約するケースが多い。60もクラブがありますから、お金がないクラブは勝てない監督やGMがたらい回しされる傾向がある」(前出・Jリーグ担当記者)
30年前に三浦知良やラモスなどスター軍団で沸かせた東京Vが15年間もJ2にいたのは、まさにこのことが大きな要因だった。小倉勉コーチも今季J3に降格した大宮アルディージャの監督を務めたこともあり千葉のOBで、「江尻強化部長のオファーでしょうね。城福浩監督とも長い付き合いがある」(前出・Jリーグ担当記者)。
歓喜のJ1昇格となった東京Vだが、
「給料もさほど高くなく、2010年にJ2に陥落したままの千葉のOBがフロントやスタッフにいる陣容では、来季も大学生やユース上がりの選手でしか編成できない。J1に残留できる可能性は最も低いクラブでしょうね」(別のサッカー担当記者)
前途多難のJ1シーズンが待っている。
(小田龍司)