シーズン開幕目前のJリーグで、久しぶりに大物外国人選手の移籍話が浮上している。が、総額30億円で獲得を目指すビッグネームは、相手だけではなく味方さえ恐怖する「危険人物」だった!
J1初優勝を目指すヴィッセル神戸が獲得を目指しているのは、元ドイツ代表FWのルーカス・ポドルスキ(31)。1月26日現在、所属するトルコの名門ガラタサライとの交渉は最終局面を迎えている。
「移籍金600万ユーロ(約7億3500万円)、年俸800万ユーロ(約9億8000万円)プラス出来高ボーナス2年半契約で交渉が進められています」(スポーツ紙記者)
神戸が破格の金額を払っても欲しいポドルスキは、ドイツ代表で129試合出場、歴代3位の48得点を記録したストライカーだ。スピードを生かした突破力と左足の強烈なシュート力を武器にW杯に3大会連続で出場。エースナンバー「10」を背負った14年ブラジル大会では、優勝も経験した。
「神戸のオーナーで楽天の三木谷浩史会長(51)は、プロ野球で日本一になったので、次はサッカーに本腰を入れています。神戸の初優勝を狙って、『大物を獲れるチャンスを逃すな』と獲得指令が出ています」(前出・スポーツ紙記者)
獲得レースで争うライバルは、“爆買い”で次々と大物が参戦している中国リーグ。しかし、ポドルスキは大気汚染を嫌っているという。サッカージャーナリストの六川亨氏はこう話す。
「これまで欧州のビッグクラブを渡り歩き、実績と実力は折り紙付き。普通に力を発揮すれば活躍できるのですが、Jリーグになじめるのか心配です」
これまでJリーグに参戦した大物外国人の中で、結果を残したのは一握り。10年南アW杯で得点王とMVPを獲得したディエゴ・フォルラン(37)でも、セレッソ大阪に加入したものの、期待外れで退団している。
「Jリーグは攻守の切り替えが早く、多くの外国人選手は戸惑います。実績十分のFWにも前線から守備をさせるので、『何で俺が走らなきゃいけないんだ!』と怒って監督と衝突するケースも見られる。特にポドルスキは守備をするタイプのFWではないので‥‥」(前出・六川氏)
神戸の指揮を執るネルシーニョ監督(66)の話に耳を傾ければいいが、監督やチームメイトが手綱を握るのはそう簡単ではない。8年前に行われた南アW杯予選の対ウェールズ戦で、“事件”は起きた。
「途中交代を命じられた時、キャプテンのバラック(40)に戦術的な理由で注意されると、その瞬間、バラックの左頬を平手打ち。暴言を吐いてグラウンドを去りました」(サッカーライター)
“瞬間湯沸かし器”のごとくキレる極悪童に、味方は練習中もビクビクしている。
「ウオーミングアップのボール回しで、和気あいあいとした雰囲気だったんですが、ボールを取られると豹変。相手選手の足ごと殺人タックルを仕掛けて奪い返しました。その選手が流血して痛がっていても、ニヤッと笑っているだけでした」(前出・サッカーライター)
それでもロッカールームではやんちゃなムードメーカーとして愛されるポドルスキは、日本の漫画「キャプテン翼」(集英社)の大ファン。試合で使用するすね当てには、同じストライカーの日向小次郎のイラストが描かれている。
1月24日のトルコカップでは、先発出場すると左足だけで5ゴールと大暴れ。超一流選手の加入に、神戸サポーターの期待は膨らむところだが、手放しで喜べない事情もあった。13年前、神戸は02年日韓W杯で活躍したトルコ代表のイルハン(41)を総額12億円で獲得したが‥‥。
「膝の痛みで出場は3試合のみ。4カ月で無断帰国しました。神戸サポーターはイルハンの失敗を経験しているので、試合で結果を出すまでは安心できないのです」(前出・六川氏)
実はポドルスキは、「ガラスのエース」の顔も持ち、これまで何度もケガで戦線離脱。総額30億円をドブに捨てることにならなければいいのだが。