碓井教授が続ける。
「家族・家庭のあり方が個人主義どころか『バラバラ主義』になってしまいました。家庭にテレビが一台、そこにみんなが集まって観るというスタイルが変わってしまったということです。そうした流れに紅白も巻き込まれていったということでしょう」
それでも一部の歌手にとって紅白出場は喉から手が出るほど欲しいもの。昨年“御大”北島三郎が「勇退」という名の「リストラ」にあった時点で、次のターゲットになっていたのは和田アキ子(64)だ。
「歌唱力は別として、CDが売れていません。3年前からNHKは、『アッコ切り』を本気で考えるようになった。ネックは綾瀬はるかも所属する事務所の力です。切るのはいいけど『一斉に引き揚げる』ということになりかねないので切れません」(NHK関係者)
和田は出演者リストに自分の名前があった瞬間、安堵の表情を浮かべたという。
泣きを見たのが小林幸子(60)である。今年は芸能生活50年の節目の年。武道館でのコンサートも行い、
「NHKの人も見に来てくれた」
と、紅白出演に執念を見せたが‥‥。芸能記者が語る。
「派手な衣装でテレビに出ている姿が地方視聴者の反感を買い、抗議が来るようになって落選しました」
小林は、すでに紅白用のド派手電飾衣装も注文していたという。
そんな悲喜劇をよそ目に、驚きを与えたのが薬師丸ひろ子(50)の出演だ。彼女は82年に「セーラー服と機関銃」でオファーを受けるも大学受験を理由に辞退している。昨年は、あくまで朝ドラ「あまちゃん」の「鈴鹿ひろ美」として出場したことから、今回が初出場となった。話は「あまちゃん」に遡る。
「ドラマで歌を歌うということでボイストレーニングをしました。昨年の紅白で歌うと、想像以上の歌声でした」(NHK関係者)
そこをNHKがくすぐった。「ボイトレまでしてもったいない」「視聴者から大反響」──本人もすっかりその気になり、
「ナマで歌うのもいいかも☆」
と快諾したという。デビュー作「野性の証明」で高倉健と共演したこともあり、舞台プランが着々と練られているという。
「健さんとのデビュー作のワンシーンで登場し、『セーラー服──』を歌います。昨年亡くなった大滝詠一さん作曲の『探偵物語』にスイッチして、出演がかなわなかった竹内まりやさんが薬師丸さんのために書き下ろした『元気を出して』でシメる」(NHK関係者)
まさに薬師丸ひろ子歌謡ショー。本人も「カ・イ・カ・ン」になることは間違いない。現在、薬師丸は専用トレーナーの下でレッスンに励んでいるという。