スウェーデンの音楽配信サービス「Spotify」が、従業員の17%にあたる約1500人の解雇を実施すると発表した。同社は11月、より多くのアーティストに収益を届けるためのロイヤリティシステムを発表し話題となったばかりだが、今回の大量解雇で従業員よりもアーティストを優先しているのではないかといった声も見られる。
「Spotifyは従業員への書簡で、一時は採用を拡大したものの効率が低下していると説明。ダニエル・エク最高経営責任者(CEO)によると、利害関係に役立つ重要な仕事ではなく、仕事をサポートしたり、周辺の仕事をしたりする人員が多すぎるといい、削減対象となった従業員には12月4日に通知が行われました。同社は今年1月に600人、6月にも200人をリストラしており、今年1年でおよそ2300人の従業員がSpotifyを去ることになります」(経済ジャーナリスト)
同社は10月24日に2023年第3四半期(7~9月)の業績を発表し、値上げやコスト削減によって四半期としては1年半ぶりに黒字となったことが明らかとなった。しかし慢性的な赤字に陥っており、エクCEO曰く「まだ支出が多すぎる」とのことで、黒字のタイミングであるにも関わらず大量解雇に踏み切った。
「Spotifyは音楽のサブスクリプションサービスのさきがけで、『Apple Music』を凌ぐ6億以上のユーザーを抱えています。しかし収益化の面ではあまり成功しているとはいえず、その一因として挙げられるのが音楽業界への支払いで、その額は400億ドル(約5兆9000億円)を超えているともいわれています。つい先日も、よりアーティストに収益が渡るロイヤルシステムに変更し、アーティスト側からは称賛されていますが、従業員の首を容赦なく切るという大ナタが長期的に見た企業イメージでどう出るか。ただ、サービス継続のためには仕方ないのでしょう」(前出・経済ジャーナリスト)
今後も人員削減は続くのか。
(小林洋三)