中根氏によれば、
「解雇自由化になれば、働かせるだけ働かせて残業代もつけない。文句を言う人はクビ切りができる。そもそも産業競争力会議のメンバーは経営者側ばかりで、労働者側、つまりクビを切られる側はいない。竹中さんは慶応大教授の肩書で入っていますが、大手人材派遣会社・パソナの会長をやっている。ハローワークを民間に開放すべきだと主張し、自分の会社の仕事拡大にもつなげていこうとしているのは明らかです」
何ともフザけた公私混同ぶりである。
「今までは潰れそうな会社が人員を整理解雇してきましたが、解雇自由化後は経営状況が深刻でなくとも将来に備えたいといってクビにできます。それが単年度で起きる。今年は会社の業績が悪かったから10人辞めてもらう、来年よかったら5人雇えばいいや、などと安易なソロバン勘定をしかねません」(金子氏)
竹中氏ゴリ押しのサラリーマン撲滅法だが、実際に「死刑宣告」された場合、「その先」はどうなるのか。経済ジャーナリスト・水島愛一朗氏が嘆息する。
「例えば、パナソニックに吸収され子会社化した三洋電機。パナソニックと同じ部門の人材が整理解雇されると、技術を持って中国の企業に流出しました。しかし、海外では日本と違い、一生雇ってくれるわけではありません。3年、5年で技術を吸い取ってしまえば用なし。また別の技術を持った人材を雇えばいいという考えです。これと同じことが起きるでしょう」
技術者で、このありさま。営業マンや事務職中高年には、さらに厳寒の風景が待ち受ける。水島氏が続ける。
「新興産業が受け皿になるといっても、これは特殊技術。40代50代で指名解雇された人がいきなり行くのは無理で、そのまま失業者になるだけです。さらに現代は店舗、営業マンを使ってきた事業がインターネットに取って代わられつつある。店舗も営業マンもいらない業種ができているのです。昔ながらの営業スタイルを持つ人を他の企業でも採用してくれるかといえば、非常に厳しいと思います。竹中氏らは単に頭の中だけで考えていることを言っている。それこそ想定外のことがいっぱい起きますよ。そして、とめどもなく失業者が街にあふれる」
このままでは阿鼻叫喚の失業者地獄で日本の企業社会は崩壊してしまいかねない‥‥。