12月2日は山陽オート、ナイター3日間普通開催の2日目だった。
メインスタンドは4階が指定席になっている。観戦は一般席か、指定席になっている4階で。走路は新しくなったが、スタンドはレトロな感じだ。初日の入場者は291人で、この日は461人だった。うーん、少ない。スタンドはレース発走前は人影もない状態だが、旅打ちは実はそれがたまらない。
JRAのように10万人も超える群衆がスタート前に手拍子で盛り上がっているのを見ると、ギャンブルというよりは群集心理を楽しんでいるようにしか思えない。しかし、ここはスタンドを独占して、自分一人の世界のような気がして、心中深く満足できる。「孤独のグルメ」ならぬ「孤独のギャンブル」だ。
日が暮れたバックストレッチ側は、黒い木立が壁のように迫っている。その小高い山は高山(こうやま)、あるいは地名の埴生(はぶ)を上につけて埴生高山というそうだ。木立、そして煌々と明るいナイター照明はコントラストがくっきりして、幻想的でもある。そこに、遠くまでやってきたという旅情も重なる。そうなれば、旅打ちのシチュエーションとしては完璧だ。
しょっぱなの6Rで初当たり。次の7Rは7車立て、1周500メートルを6周する一般戦だ。①②③のうちの3車と④⑤⑥⑦の外の4車とは、「試走タイム」にかなりの差がある。中心は試走タイムがトップの⑥。頭固定で2着④⑤、3着に③の紛れも考えて③④⑤⑦の6点を各1000円。結果は3連単⑥④⑤800円をゲット! ちょっとだけプラスになった。
8R、9Rはドボン。ヒットは10R(3100メートル)だった。0線は①、ハンデ20メートルが②、③④⑤⑥⑦はハンデ20メートルのハンデ戦だった。
速さ、操縦テクニックのバロメーターになる、全力で500メートルを走ったタイムを5で割った「試走タイム」は①3.44、②3.32、③3.35、④3.32、⑤3.34、⑥3.31、⑦3.33。ハンデ20でも、①はタイム差が大きすぎる。②は最高ハンデの③④⑤⑥⑦と比較しても遜色なく、ハンデをもらっている分だけ有利にレースができるので、2着3着はありそう。
アタマはトップタイムの⑥丹村飛竜。丹村は先週の飯塚オートにも出ていて、好調な印象はなかったが、ここはホームバンクであり、初日は1着スタート。反対に飯塚オートで優勝戦を走った⑦中村杏亮は、初日は最後の追い上げで2着に届いたものの、仕上がっていない印象だった。
そこでアタマが⑥、2着②③④⑤、3着②③④⑤⑦と広めに16点、各400円。結果は1着⑥、2着⑤、3着④で、3連単は1万5800円の好配当になった。これをゲット!
11R、12Rはドボンだったものの、3安打。飯塚の仇を山陽で討つことができた(本サイト12月1日公開「飯塚オート編」を参照)。
宿泊は山陽新幹線厚狭駅のホテルだ。厚狭駅前に飲食店はほとんどないが、1軒だけガラス越しに賑わっている、カフェ風の「二反田」という店があった。新聞社の知り合いに、山陽には大きなうまいアサリを食べることができる店があると聞いていたので期待したが、それはない。その店はどうやら、駅を離れたドライブインのようなところらしい。
しかし、この店では思った以上の収穫があった。9月に下関ボートに出かけた際、下関はふぐ一択かと思ったら、くじらも名物で美味だった。
そこでメニューにあったくじらを迷わずお願いして、アカモクというトロトロした海藻、秋田県知事と徳島県知事がモメたじゃこ天の珍味がカウンターに並んだ。これらを下関の「天美」という山口の地酒で。この日本酒は元NMB48のメンバーで、浅草で酒屋をやっている高野結衣さんに夕刊紙で連載してもらった際、好きな日本酒として挙げてくれたものだった。これに加えて、山陽小野田市の「無ろか原酒」「純米 山猿」をグビグビッと。
こうして公営ギャンブル87場制覇を目指す、84場目の夜は更けていったのだった。
(峯田淳/コラムニスト)